素敵なものいっぱいの中の混入物 2015.7.31『SPARK!! SOUND!! SHOW!!「Chemical X」リリースツアー東京場所』at 下北沢SHELTER 感想

ケミカルエーーーーーーックス!!!

さて、そんなわけでスサシことSPARK!! SOUND!! SHOW!! のレコ発ライブ、東京編を見に下北沢SHELTERに行って来ました。

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スサシを初めて見たのは去年のbe unconscious zizzの中野MOONSTEPでのレコ発ツアーファイナル……の件はもういいかw とにかく、そこでスサシとSABANNAMANを初めて見て、気に入って何度かライブを見ているうちに、SABANNAMANはIKKI NOT DEADからフルアルバムを出してフジロックのルーキーステージやベイサイドクラッシュのステージに立ち……スサシも色んなフェスやイベントにひっきりなしに出ながら全国デビューとなる『Chemical X』を出して……見ているだけの自分ですら驚くような変化し続け、成長していく2つのバンド。いつかまた同じ日に初めて見た2つのバンドが、共演するイベントがあるといいなぁ……なんて思ってたら、存外早くチャンスが来たというわけですw
気になるのはそんな2つを見せてくれたbe unconscious zizzの動きがあまり見えないこと。ギターの2人が抜け、後続のギタリストが入るものの早い段階で脱退した後、公式サイトなどは動きを止めていて活動休止状態に見える……。メンバーが揃わないのでは仕方ないかもしれないけど、好きなバンドなのでなんとか活動再開して欲しいです。

それはさておき、この日の面子はSABANNAMANだけは早い段階で発表されていて、とはいえツーマンはないだろうなーと思ってはいたけど、公演の3日前ぐらいになってカルナロッタ、前日くらいにderonderonderonが追加発表。
ラウド系に一応軸足を置きながらも、ハチャメチャに掻き回すスサシの音楽性そのままのような面子だw

まず出てきたのはカルナロッタ。
実は一度、ライブを見たことある。SABANNAMANを見に八王子RIPSのCheap Cheese主催のRIPSの周年イベントで。この日は非常に客が少なく、バンド側もなかなか大変だっただろうなと思った日だったけども、ライブイベントとしては面白く、その中でもこのバンドはドラムがいいなぁと思ったのは覚えてました。
この日もやはりドラムが凄くよかった。キレがよく迫力のある力強いドラミングは聴き惚れてしまうレベル。コーラスなんかも入れていて、見ていて普通に凄いなぁと思ってしまう。
2回目となった今日は、曲もいい感じに聴こえてきたのでまたライブ見たいなぁ。

2番目のderonderonderonは完全に初見。
ボーカルギター、ギター、ベース、ドラム、シンセの男2女3の混成編成のポストパンク寄りのダンスロック、といった感じ。ライブを見ていて、もしかしてと思ったらやはりTOKYO BOOTLEG CIRCUIT出てたw ダンスとロックとエンターテイメントを意識したバンドは大体出てるな、あのイベントw
この日のフロアはなかなかにアウェイ感あって大変そうだったけど、音もライブ自体もとても面白いバンドで、もう何度か見てみたいなと思ったライブでした。

そして、トリ前はバンナメンことSABANNAMAN!
『to fun to enjoy』からスタート。『good vibration』や『GNUS ON PARADE』、『Happy Youth』というキラーチューンは勿論素晴らしかったが、この日気に入ったのは『Freak Out』。ライブハウスで見る『Freak Out』は格別だなぁと思わされた。とっつきやすいフレーズとダンサブルなノリ、からのギターソロ! たまらんです。
そして、先週はベイクラというシチュエーションで最高の『DAYS』を見せてもらったけど、ライブハウスでの『DAYS』もやはりいい。親しみやすいサビと、耳に刻み込まれるレベルに印象的なギターのフレーズは何度聴いても飽きない。
SABANNAMANの方のレコ発も多分行くので、とても楽しみ。

トリはSPARK!! SOUND!! SHOW!!
『Chemical X』と同じように「どつくアイツの胸ぐら掴み中」で始まって、今更のように、あ! なんだかレコ発ぽい! などと思ってしまったw
続く『BRUSH UP』はやはりかっこいいし、ミカテラさんのボーカルがたっぷり聴けるパワパフバブルス推しソング『BUBBLES』も素晴らしい。そして、SPECIALSとRIP SLYMEマッシュアップ『Little Joint Bitch』、シェッシェッシェシェシェ……エビバーディ♪からの『dararatt』をライブで見るのはやはり最高w
本編最後は勿論『スサシのマーチ』。バンド初期に作られたという他の曲もそうだけど、このカオス感がスサシの真骨頂なんだなぁと思わされる。カオティックでゴリゴリな曲に、ミカテラさんのボーカルとキーボードが乗ると混沌さが更に増しながらも、曲のポップさも引き出される感じ。
また、おそらくミカテラさん加入後に作られたと思われる曲はそういった方向を洗練させている感じで、来場特典の新曲も非常に短いながらも、そんな感じを覗かせていて面白い。
全国デビューのミニアルバムが1枚出たばかりのバンドなんだから当たり前なんだけどw、まだまだ伸び代が沢山あることをまざまざと感じさせられて、先々も更に楽しみになる。

「お砂糖、スパイス、素敵なものをいっぱい。全部まぜると、むっちゃかわいい女の子ができる……はずだった。だけどユートニウム博士は間違って余計なモノも入れちゃった! それは、ケミカルX!!」
という前振りはパワーパフガールズだ。女の子は何でできてる? というアレが着想なのだと思うが、翻って男の子は何でできてるかというと、カエルにカタツムリに子犬のシッポで出来てるそうである。それはそれでかわいいのではないだろうか。ちょっとよくわからぬ。男の子のこと言う必要あるのかこれ……まぁなんにせよ大事なのはケミカルXだw
パワーパフガールズのポップさとカオス感の共存している部分は、スサシのそれにも感じられて、そういう意味ではいいところに目をつけたなぁと思う。スサシ自身の音楽性もそうだし、ライブもそう。余計なモノなどないよね〜♪とアレなケミカルにSAY YESと歌った人は壁の向こうに行ってしまったが……余計なモノで素晴らしいモノが出来ることもある……そうね、何が言いたかったのか全然わからなくなってきたな……どうしよう、これ。この件が余計という話か。

とにかく、非常に面白いライブイベントでした。ケミカルエーーーーックス!!

同じアホなら踊らNIGHT『TOKYO BOOTLEG CIRCUIT'15』at 渋谷 感想

7.11の土曜日は、渋谷のライブハウス9会場、CHELSEA HOTEL、STAR LOUNGE、WWW、Milkyway、CYCLONE、GARRET、THE GAME、gee-ge.、JUMPを使って昼から夜まで行われるサーキットライブイベント『TOKYO BOOTLEG CIRCUIT』に行って参りました。

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特に写真撮ってなかったのでリストバンドだけでもw

このイベント、バンドもジャンルは様々だし、アイドルが多数出演、アニソンDJタイムや、アニソンを歌ってる歌手がバンドセットで出たり……と、なかなかいい感じに仕上がってるライブイベントになっており、個人的に去年に存在知ってから来年は絶対に行くと決めていたイベントでもありますw
アイドルを毛嫌いしてるということは全くないのですが、ただまぁ、さすがにこういうイベントに行かないと、アイドルのライブにわざわざ時間とチケットをとって行く……ということもなかなかないので。

で、この日は初めから躓いてコケたんだんだよな……13時スタートだと思ってたら12時半スタートだったんだよね……いやまぁ自爆じゃんって話で仕方ないんですけど。実際、普通に歩いてても何もないとこでコケるタイプの人間だからな。俺はコケたらメソメソしてしばらく起き上がりたくない人間なんだぞ……次から気をつけたい……。

さて、まず見たのはSECRET 7 LINE at CHELSEA HOTEL
いやぁもうさすがと言わざるを得ない。彼ら主催のシクフェス、野外で大規模にやる日も近いのではないかと思わされた。
音の勢いと重さとキャッチーなポップさが凄く心地よく、フロアを沸かせるライブ力も兼ね備えていて、最早貫禄すらある。結成からまだ10年と経ってないよな……すげえ。見ていて凄く面白いバンドの1つです。

次はバックドロップシンデレラ at CYCLONE。
ライブスタートまでにパンパンに詰まったCYCLONE。後で入場規制入ったことを知ったが、本当にパンパンだった。人気あるんだなぁ。
フロアはバンドの音合わせの段階から盛り上がっていて熱気が充満し、ライブが始まると爆発……最初から最後まで熱狂という言葉が相応しいライブだった。
バックドロップシンデレラの楽曲って、自分は楽しさと共にどことなく哀愁を感じるのだけど、それがテンションを引き上げる絶妙なフックにもなってるのかな、とも感じた。
歌詞にもそんなようなこと言われてるけど、まさに踊ったもん勝ち。それをガッツリ証明するライブでした。そして、終わった後、その場でしばらくぼーっとしてたんだけど、汗やらなにやらでフロアの床がしっとり濡れていて、おお、凄かったんだなと改めて思った。ウンザウンザ!!

CHELSEA HOTELに戻ってJAWEYE。
今やラウドミュージックとダンスミュージックの融合は若いバンドには珍しくないが、その中でも抜群のポップさを発揮してる(と俺が思ってる)のが、このJAWEYE。
フロアもツーステの嵐で、さすがに若い子に人気あるなぁ。今後にも期待大です。

そのままCHELSEA HOTELに居座り、打首獄門同好会。
こちらもバックドロップシンデレラのように、スタートまでにパンパンに詰まる。やはり入場規制が入ったとのこと。見たかったバンドの中で入場規制が入ったバンドを2つともしっかり見れたのはよかったなw
そんなわけで、こちらも音合わせ段階からフロアは大盛り上がり、始まったら大爆発。更にうまい棒バラマキw 反則だよw それ自体面白かったけど、パンパンでテンションの高いフロアを飛び跳ねるうまい棒は、それぞれの手に渡るまでに粉々で、それでまた笑ってしまったw
そんなうまい棒がこの日のライブをよく現していると言っていいw 激しくて、面白くて、ひたすら楽しい。いいライブでした。

次に見たのはKAGERO at THE GAME。
歌のないインストだけど、なんというか、思いっきり華があるバンドだよなぁ。音もそうだし、ライブパフォーマンスもそう。
歌がないから、わかりやすいメッセージみたいなのは感じ辛いんだけど、身体を突き動かす衝動みたいなモノがあって、歌がない分、ライブではその衝動がフロアにシンプルに伝わる感じ。
めちゃくちゃかっこよかった。また見たい。

GARRETに移動してスサシことSPARK!! SOUND!! SHOW!! 。
ちょっと時間危なかったけど、スタートにギリギリ間に合ったw
この日もガッツリ楽しいライブを披露。MCもそうだけど、音楽の方でもしっかりと笑顔が溢れるいいバンドだよなぁと思う。
それでまた締めるとこはちゃんと締めるつーか。ライブでの『dararatt』の始め方、面白いけどめっちゃかっこよくもあって、めっちゃ好きです。そして『スサシのマーチ』はブチアガる。かっこいい。
7.31の下北SHELTER、なんとか行きたいなぁ。

最後はMilkywayにてDALLJUB STEP CLUB。
これが、めちゃくちゃ凄くて圧倒されてしまった。
Dubstepとか、そういうクラブとかで流れるような音楽をバンドというフォーマットに落とし込んで、テクノロジーと……生の感触とでもいうか身体性とでもいうか、それを融合してDALLJUB STEP CLUBの音楽として提示してくる。その切り口がまたかっこいいし、それをライブで見るとまたたまらないモノがある。あぁ「イケてるバンド」ってこういうことを言うんだなぁとまざまざと実感させられた。興味ある人はとりあえずYouTubeで『Future Step』のMVが公開されてるので、まずはそちらからどうぞ。
あのドラムを目の前で、リアルタイムに見るのたまらないですよ。鳥肌立つかと思ったもの。そういうのも含めてめっちゃ楽しいライブだった。またライブ見たいなぁ。

と、いろんなバンド見せてもらったけど、共通してたのはフロアと目一杯楽しもうとする姿勢、だったかなぁ。楽曲そのものもそうだし、パフォーマンスもそれぞれがそれぞれに、いろんなアプローチで、いろんな工夫をして、ライブを一緒に楽しもうという姿勢が見えた印象。冷静に考えるとどんなバンドでもそうだと思うのだけど、この日はなんとなくそれを強く感じた。
感想書いた以外のバンドもチラチラ見てて……その、空回りというか、踊れーっつってるけどそれじゃフロアも反応できんだろ、みたいなバンドもいたりした……まぁそれも含めてライブ、ライブハウスという空間を考えた部分があって、そういう部分でDJの人たちはこういう視点でライブハウスにいるのだなぁという部分が少しだけ感じられた気がした。思えばDJって、フロアを楽しませることには絶対に手を抜かないよな。なんにせよ非常に面白かったです。

あと、バンドの人がちょくちょく、こういうサーキットイベントでは自分たちが選ばれたことが嬉しい、というようなことを言っていて、なるほどなぁと。自分たちは何気なく選んでるだけだけど、選ばれる方はそうだよなぁと。いろんなとこでいろんな魅力のライブが行われていて、その中からただ1つ自分たちが選ばれた、というのは確かにそれだけで嬉しいかも。
また、既に書いたけど入場規制の入ったライブも結構あったらしく。どこもそんなに大きくはないから仕方ないかw 自分は、目当てのバンドが入場規制が入って見られないということがなくてよかった。遅刻して終わってて見れなかったなら諦めつくけど、入場規制でフロアに入れず見られないは辛いもんなぁ……。自分は今回たまたま上手くいったけど、こういうサーキットイベントは早め早めに動いておきたいな。

というわけで、いろんなジャンルのバンド……しかしある種の共通点も感じる、非常に楽しいサーキットライブイベントでした。来年もあったら、また来たいなぁ。
惜しむらくはアイドルを全然見れなかったこと。特に、ゆるめるモ! は見たかった……。今年中になにかしらのアイドルのライブをライブハウスで見てみたいなぁ……。つーか、あとで気づいたんだけど、xxx of WONDER岸田メルさんがこのイベントにいたのな! 16時半でバックドロップシンデレラと丸被りなので、事前に知っていても難しかっただろうけど「ライブハウスの岸田メル」、見たかったなぁ。

アイラブアイヘイト『I HATE SMOKE RECORDS presents 「CHANGE YOUR CIRCLE」』at 下北沢SHELTER 感想

6.28は、I HATE SMOKE RECORDSというレーベルに所属するTHE SENSATIONS、THRH、BLACK BUCK、Ratchild、LEXTの5組で行った東名阪ツアーファイナル@下北沢SHELTERに行ってきました。

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レーベルの5組以外にも各地でゲストを迎えながら行っていて、東京ではTROPICAL GORILLA!

安定の、少し遅れめ入場だったので、フロアに入るとTHRHがもう始まっていたけど、既にフロアはグチャグチャで面を喰らう。『ATAMA IKARE POSSE』というのは伊達じゃないのだなぁとw 特に、縦横無尽なボーカル(ステージのパフォーマンス的な意味も含めて)、といった感じで本当に凄かった。

転換でサックスの人が出てきたので、お、次はTHE SENSATIONSか……というところだったけど、その前にS.S. to YOU! というバンドが入った。順番でいうと2.5番という感じで……4曲くらいの極めて短いライブだったので、もうちょい見たかったかな。

で、THE SENSATIONS。
やはりご機嫌なスカパンクと楽しく激しいパフォーマンスが頗るいい。演者がとても楽しそうにやってるから、見てるこっちも……うわぁ大澤さん天井からぶら下がって歌ってるwww なんだこれwww と大量に草が生える程に大草原不可避な楽しいライブだった。THRHに続いてフロアグッチャグチャ。凄かったなぁ。

3番目はRatchild。
ゴリゴリと音がしそうな程に、骨太なミクスチャーハードコアでかっこいい。ラストではKMCが出てきて、コラボ曲も披露。これもむちゃくちゃかっこよかった。

4番目はトロゴリことTROPICAL GORILLA
足がもつれるくらいのグングンくる感じは相変わらずで、かっこいい。機材トラブルなんかもあって色々ちょっと大変な感じだったけどw、全体的には非常に楽しいライブだった。

5番目はBLACK BUCK。
いやもう、やっぱりむちゃくちゃかっこいい。複雑にも聴こえる演奏の凄味と、シンガロングに容易に届く歌のポップさとが上手く連結していて、更に短い曲の中に詰め込むスタイルがライブではまた映える映える。岡田さんと羽沢さんのやってたTHUMBもそういう感じあったけど、BLACK BUCKはそういう部分が更に進化・深化してる。
ライブを見る度に、やっぱり大好きだと思うバンドだ。

トリはLEXT。
改めて思う。自分は叙情的な表情を持つメロコアに、クッ殺レベルに弱いw
エモコアまでいくとまた違う評価をする部分があるし、そもそもそういうメロコアエモコアをどこで分けるのかって部分もあるけど……なんにせよLEXTはむちゃくちゃカッコイイってこったなぁ。
曲自体は勿論だけど、西田さんの渋い声やベースがまたいいのです。『NOT A MOVIE』のイントロのベースが聞こえた時なんか、かっこよすぎて鳥肌立ったもん。
まだライブ見たのは2回目だけど、完全に虜になりました。絶対にまたライブを見に来たい。

この日は、どのバンドも素晴らしいライブを披露してくれて、それが「I HATE SMOKE RECORDS」というレーベルの面白さが伝わってくるようで「I love "I HATE SMOKE RECORDS"」なんて言いたくなる、素晴らしいライブイベントになっていたと思います。

Gimme a Funky Punky Baby! SABANNAMAN『MAGIC MUTANT』感想

素晴らしい。

Magic Mutant

の、一言で終わらせたいぐらいよかった、SABANNAMANの1stフルアルバム『MAGIC MUTANT』。

このSABANNAMANというバンド、2012年に結成の20代前半の面々というから更に恐れ入る。
Dr:與那城直記
Ba:糸数航平
Vo:吉田涼
Gt.上田雄
という4人編成のファンク✕ヒップホップ✕ハードコアパンクのミクスチャーロックバンド、といえばわかりやすいか。
初めて見たのは、スサシことSPARK!! SOUND!! SHOW!! を初めて見たイベントと同じ、去年の10.18に中野MOONSTEPで行われたbe unconscious zizzのレコ発ツアー『Time After Time vol.9 -Alter, Encounter Tour FINAL-』だ。その日の自分のTwitterには「ファンキーに跳ねてる感じで素晴らしかった」と書いてあるだけで、詳細に何を感じてどう思ったのかはよくわからんw
が、とても気に入っていたのは間違いなく、年末の爆裂FxAxDのSABANNAMANの出番が大晦日で(自分が帰省するので)見れなくて、彼らの初期衝動コピー※を見られなかったのがとても悔しかった。何の曲をやったのか、もし話す機会があれば聞いてみたい。
※爆裂FxAxDは横浜F.A.Dで行われる年末の企画イベントで、各バンドの初期衝動となったコピーを披露する決まりになっている。去年は元SHERBETの岡田さんが所属するBLACK BUCKはSHERBETの『Summer Beach』をやってくれて、自分はいたく感動しましたw
年を明けてからも何度か見させてもらっていて、SABANNAMANというバンドを見せつけてくれた初台WALLのSABANNAMAN自主企画『Tell Me Africa』、沢山の客の中で嬉しそうに演奏する姿が印象的だった下北沢SHELTERでの『Scorebook #1』、WRENCHやNUMBといった歴戦のベテランバンドの中でも引けをとらなかった『PARTENON X』あたりが印象に残ってる。

そして、この1stフルアルバムである。
スケートパンクといった言葉からイメージされるようなスピーディなハードコアパンクを基調に、ファンクやヒップホップ、90年代のオルタナティブロックの要素を吸収して、堂々とSABANNAMANの音として出力されている。
たとえば、YKZ。たとえば、RAGE AGAINST THE MACHINE。彼らはハードコアパンクでありながら、ファンクであった偉大な先達のバンドだけども、圧倒的なヘヴィネスを伴いながら、何より秀逸なポップミュージックでもあった。SABANNAMANも……みんなにとってどうかはわからないけど、少なくとも自分の中では……そこに続くバンドであると思う。そう思わせてくれる1stフルアルバムになっている。

アルバムは、ハードな感触ながら、スピードアップした間奏部のアコースティックギターの美しい旋律が印象的である『GNUS ON PARADE』から幕を開ける。先行としてMVが公開された曲でもある。
続くのは、前につんのめるかのようなスピード感がかっこいい『Good Vibration』でグイグイとテンション上げてくる。この曲はシングルとしてタワレコなどで無料配布され、後にIMCなどで無料ダウンロードもされた曲だが、改めて聴いてもやはりかっこいい。ここまでの2曲はWebで気軽にアクセスできるので、聴いてみてほしい。
3曲目は『Freak Out』。ダンスホールで演奏するファンキーなハードコアパンクバンドというイメージそのままな仕上がり。ギターソロにアガること間違いなし。
唸るベースとギターの絡みが気持ちいい『THE HARTMAN』が4曲目。ハートマン軍曹……?
続く、エモーショナルなシャウトが印象的な『FUNKAMAN』と、駆け抜けるようなスピード感が爽快な『SPICE OF  YOUR LIFE』は、彼らの自主制作e.p『GNUS ON PARADE』にも収録されている曲。どちらもよりパワーアップされていて、短い期間にグングンとレベルアップしてることをまざまざと感じさせられる。
楽器隊のジャムセッションのような『JAM』を挟んで、8曲目『to fun to enjoy』。ライブでも盛り上がる飛び跳ねるような躍動感溢れる曲。ライブでも好きな曲なだけに音源化がとても嬉しい。ポップさとハードさの塩梅が絶妙で素晴らしい。
GET WILD』も自主制作e.pに入っていた曲。スピード感のある「Hey! Get! Wild!」という掛け声が勢いがあってかっこいい。
10曲目『We Are The Alright』は、まじないのように繰り返す「We are the alright」の部分がDUBのような表情を見せていて、面白い。
『Happy Youth』は第二弾無料配布シングル。高い音を中心に据えたギターが印象的で、曲のうねり方が気持ちよく、聴いてる方のテンションをハイに入れていく。
そして『DAYS』。ここまでハイテンションに疾走感と躍動感を前に押し出した曲が続いたので、ここらで箸休めタイムなのかなという感じなのだけど、この曲に関しては、ある意味では箸休めにはならない……つまり素晴らしい曲。自分はライブで見たのが先だったけど、音源で改めて聴いてもやはり凄くいい。正直、イントロのギターリフだけでもう掴まれる。サビも優しく響く、心地よい名曲。
13曲目『Yism』は普通に笑ってしまったw この曲はあえて何も書かない方がいいだろうw かっこい〜w
『This is most Funkness Festival』、お祭りDA!!!
『SABANNA PARTY TIME』、パーティDA!!!
という14曲目・15曲目は、これがSABANNAMANの真骨頂かと思わせてくれる疾走感と躍動感。これも、どちらも自主制作e.pからの新録だが(『This is most Funkness Festival』はタイトルが変わっている)、やはりかっこいい。
ラストの『AROUND THE WORLD』は、歌も演奏も力強く、美しい、アルバムのラストを飾るのに相応しい曲になっている。SABANNAMANという言葉から想像させる疾走感と躍動感とはまた違った、しなやかさというようなモノを感じさせられる。ライブで聴いてみたい。
といった感じの16曲、40分弱。非常にいいアルバムでした。個々の曲は勿論、アルバム全体としての流れもよく、聴き終わった時の満足感も高い。

親しみやすいラップと時折エモーショナルな表情も見せるボーカル、激しさの中にポップさと美しさを兼ね備え曲をグイグイとリードするギター、そんなボーカルやギターにも負けずに唸り主張しながらしっかりとしたベース、そんな三者をまとめ上げ支えつつも力強いドラム、それぞれがバンドとして噛み合いSABANNAMANの音を作り上げている。
普通に若い子にウケる音楽だと思うけど、SABANNAMANの強味はオッサン・オバサンにも訴求力が高い点だ。特に90年代に所謂ミクスチャーやハードコアパンク、または当時オルタナと呼ばれた音楽を聴いてきた人たちにこそ、一度聴いてみて欲しい。
ポイントなのは、当時の音楽の懐古趣味ではなく、当時の音楽をちゃんとSABANNAMANなりに消化して、SABANNAMANとしての音を鳴らしている点だ。彼ら自身はまだ若いし、当時のバンドをリアルタイムで見てきたわけではないだろうから、ある意味当たり前といえば当たり前かもしれないが。2015年現在、20代前半の彼らが、どうしてあの頃の音楽を熱心に聴き、こういった音になるに至ったのかはわからないがw、まぁそういうこともあるだろう。なんにせよ、いいバンドであるのは間違いない。彼ら自身が彼ら自身の衝動に突き動かされてこの音楽が作ってきたから、自分みたいなオッサンにも「懐かしい」というだけではない魅力を感じさせるのではないだろうか。

本当にいいアルバムになってると思います。
『GNUS ON PARADE』はMVとしてYouTubeにありますし、アルバムの試聴Trailerもあります。また、最近はCDはちょっと……という方も、配信もしてるようなので興味がある方は是非。
ライブも、フェスはBAYSIDE CRASHや京都大作戦の前夜祭、KITAZAWA TYPHOONの出演などが決まっており、このアルバムの全国的なレコ発ツアーも順次追加中とのこと。沢山ライブをやってるので、いっそのこと、音源より先にライブを見てみるというのも手です。
SABANNAMAN、オススメです。

好きという呪いと希望 響け! ユーフォニアム 12話『わたしのユーフォニアム』感想

「好きこそ物の上手なれ」という言葉がある。
好きなことに対しては自然と熱中して上達してモノになるというような意味であるが、個人的には好きな言葉で……呪いの言葉でもある。

『響け! ユーフォニアム』は小説を元に京都アニメーションでアニメ化された、吹奏楽部を舞台に青春を疾走する作品だ。以前、エンディングテーマのZAQさんの『トゥッティ!』をスカパンクとして色々書いたが、アニメ本編も非常に面白い。
今回の12話、雑に言えば、どんなに努力してもどうにもならないこともある……しかし、好きで続けることに意味も無意味もない、というお話になっている。
音大に行かないのに音楽を続けて意味あるの? という姉の言葉。音楽を続ける理由がなかったという葵の言葉。そして、滝の非情な選択。
この作品は、高坂麗奈という天性とも言うべき才能が描かれるが、それが何によって形成されているのかというのも描かれているように思う。それは、麗奈と出会った久美子の姿が象徴的だ。上手くなりたいという熱にうなされる彼女の足掻く姿は、過去の麗奈なのではないかと。なんとなく続けてきたトランペットが滝によってブーストされたのは想像に難くない。麗奈は久美子に過去の自分を見ているのかな、と思う。
もう一人、なんでもできる星人がいる。同じユーフォニアム担当の田中あすかだ。こちらはもっとわかりやすい。個人練習を邪魔されるのを凄く嫌う、というエピソードがあった……筈。あったよね……?w

フィクションでは時折、特に努力を必要としない生まれつきの天才が描かれたりするが、個人的にはアレは100%フィクションの産物だと思っている。音楽でも絵でも文章でも何でもいいけど、めちゃくちゃ上手い奴はめちゃくちゃ努力してる。基本的なスペックや向き不向きといったモノは確かにあるけど、どんな技術もたかがスペックや向き不向きくらいでどうにかなるほど甘いものじゃない。
死ぬほど考えて、死ぬほど汗かいて、それでも認められなくて、死ぬほど口惜しい思いして、好きなことを続ける意味まで考えて、死にたくなって、それでもやめずに努力した者だけが辿り着く。それを生まれもったモノだけでどうにかこうにかなってるなどと言うのは、個人的には凄く失礼なことだと思う。
しかし、認められることはまた別物ではある。努力が、あるいはその想いが……実を結ぶとは限らない。それはオーディションの夏紀や、麗奈と香織の再オーディションの時も共通している。自分の実力がどうこうより、より力が上な奴がいることはある意味どうしようもない。タイミングだってある。どうしても認められたいタイミングで、認められるとは限らない。
結果を出すことや、より上のステージに昇ることは大事だけど、好きなことを続ける指針はそれだけではない。だが、いくらそれがわかっていても、認めてもらえない辛さ自体はおそらく、ずーっと変わらずに存在する。
そういった意味で「好きこそ物の上手なれ」というのは、希望であり、呪いのようだと思うのだ。

そんなようなことを考えさせられた今回のユーフォニアムのお話。凄く心を揺さぶられて、途中嗚咽を漏らしながら見た。それを導いたのはやはり久美子だ。
彼女の、怒りににも似た口惜しさの表現はたまらないものがあった。汗をかき、鼻血を垂らし(めちゃ可愛かった)、また必死になって汗をかき、それでも届かない。口惜しさのあまりに走り出してしまうシーンは圧巻だった。絵としての面白さと共に、彼女の焦燥感をまざまざと感じさせるシーンで、その後の場面はもう冷静には見ていられない。見てるこっちまでもが涙でグチャグチャになる。そして、それでもユーフォが好きだと胸を張る彼女の強さに、また涙してしまう。
おそらく、今回の話を経て久美子は麗奈と同じスタートラインに立った。そんな久美子が、あるいは久美子と麗奈の活躍が、ここから見られるんだなうひょひょひょひょーと思いかけたが……あと1話しかないじゃないか。おいおい、2期決定のお知らせ早くしてもいいのよ。

あと、このアニメの最強の百合っぷるは、夏紀と優子なんじゃないかと考え始めている……。

カオスポップミュージック!!!!!! SPARK!! SOUND!! SHOW!!『Chemical X』感想

SPARK!! SOUND!! SHOW!! の6.17リリースの『Chemical X』が非常によい、というお話。

Chemical X

SPARK!! SOUND!! SHOW!!は、
Vocal & Guitar:タナカユーキ
Bass & Chorus:チヨチヨイヤマ
Drums & Chorus:クロダマサヒロ a.k.a. 鼻の下狭男
KeyBoard & Vocal:ミカテラ
という編成の関西発の4人組。通称は単語の頭文字をとったスサシ。
ローファイな音は拘りを感じさせつつも、パンク、ハードコア、ヒップホップ、ファンク、スカ……いろんな音楽を飲みこむ貪欲な姿勢で、最終的にSPARK!! SOUND!! SHOW!! の音に仕上げて出力してくる、センスの良さをビンビンと感じさせるバンド。
『スサシのマーチ』で「ジャンルとかよくわからんからとりあえず名乗るCHAOS POP」という一節があるけど、よく言い現してるなぁと思う。混沌としていて、ハチャメチャで、うるさいけれども、間違いなくポップミュージックだ。

スサシを初めて見たのは、去年の10.18に中野MOONSTEPで行われたbe unconscious zizzのレコ発ツアー『Time After Time vol.9 -Alter,Encounter Tour FINAL-』というイベント。これには主宰のbe unconscious zizzを目当てに行ったのだけど、SABANNAMANを見て驚いて、SPARK!! SOUND!! SHOW!! を見てまた驚いたという素晴らしいイベントでした。
ハードな音とミカテラさんの縦横無尽に駆け巡るキーボードとパンキッシュなボーカルがめちゃくちゃ効いていて、すげえかっこよかった。この時にはミカテラさんはまだサポートメンバーで、バンドへのあまりのマッチング感から、いつもこういうライブが見れるわけではないのか……と少し残念に思っていたのだけど、それが後に正式メンバー加入が決まって非常に嬉しかったのを覚えてる。

で、今回、彼らの自主レーベル「SPA!! DUPA!! inc」からリリースされた『Chemical X』である。
これが大変素晴らしい。
ライブにおいてフロアを直撃させるだろう攻撃力と機動性を保ちながら、親しみやすいポップさを掛け合わせていて、それが強力なフックとなって何度も聴いてしまう中毒性を獲得している。
重要な役目を担っているのはミカテラさんのキーボードだろう。勿論、元々の曲の良さが背骨にはあるのだけど、ミカテラさんのキーボードが絶妙なスパイスとなって曲を彩っているように思う。
また、ふてぶてしさすら感じる歌詞……ライムと言った方がいいのか……なんにせよそれも素晴らしい。1曲目『ドツク』の「どつくアイツの胸ぐら掴み中」を繰り返しながら始まる楽しさといったらない。
2曲目、リード曲としてMVにもなってる『BRUSH UP』の「I gotta 奥歯ガタガタ言わせたらな」なんて痛快ですらある。
というか『BRUSH UP』はかっこよすぎてまいる。「BRrrrrrrrrUSH UP!!」と開放されるサビの解放感。けして早い曲ではないのに前のめりになってしまうかのような強度を持ってグイグイくる。
続く3曲目の『dararatt』はEarth, Wind & Fireの『Boogie Wonderland』のフレーズを拝借したフレーズにクスリとしてしまうファンクサウンド。ギターのカッティングが気持ちよく、リズム隊と絡むのがたまらない。ライブで盛り上がったら楽しいやつだなぁ、これ。
ミカテラさんのボーカルが存分に聴ける4曲目『BUBBLES』は、パンキッシュでニューウェーブ感すらある。かっこいい……バブルス……そういえば、タイトルの『Chemical X』って、パワーパフガールズのスーパーパワーの謎の薬品だと思うけど、そのへん関係あるんだろうか……。
で、5曲目はカリプソ風の『スーパーボール』。南国リゾートのようなトロピカルなスサシの表情まで見せてきたりする。グイグイくる面子の中でどこかホッとする1曲。
こちらもYouTubeにMVがあるので、興味出てきた方は『BRUSH UP』MVと、このミニアルバム自体の試聴Trailerと合わせて、一度見てみてください。
ラストナンバーは『スサシのマーチ』だ。歌詞の一節を引用させてもらったように、SPARK!! SOUND!! SHOW!! を表現しつくした曲なんだと思う。スサシ自体はどんどん変わっていくと思うけど、とりあえず今は最高にかっこいい。

あっという間の6曲15分弱である。もっと聴きたくて物足りないまである。
そんな極上の15分が1分100円で買えると思えば安いもんである。しかも繰り返し聴ける。聴きたくなる。2回聴いたら50円だ。やったー。割安もここまでくると西友も裸足で逃げ出すレベル。
まぁ、つまり1500円ですw
所謂ミクスチャーが好きなら一聴しといても損はないんじゃないかと思います。
ジャケットもかっこいいし。
タワレコで買うとTHE SPECIALSの『Little Bitch』とRIP SLYMEの『JOINT』のマッシュアップ、『Little Joint Bitch』が付きます。こちらもいい感じなのでオススメ。

昴と後星 放課後のプレアデス 10話『キラキラな夜』感想

いよいよ佳境に迫ってきたという雰囲気で、もう何話かで終わってしまうというのが既に寂しい気持ちすら湧いてしまうのだけど、それはそれとしてお話の行く末を見届けたい気持ちでもある。

で、この10話『キラキラな夜』ですが、言わば、みなと回なお話。
みなとの過去、みなとが何故ここに至ったのかというお話が展開される。
欠片を角マントことみなとに奪われた彼女たちは、勿論取り返しに即座に動く……が、ここ最近の目覚ましい活躍は欠片によって支えられたモノであったことを知る。つまり、欠片を手にしたみなとを追いかけられない。そこで、『ななこ13』でやったように、5人のドライブシャフトを合わせることでみなとを追いかける作戦を立案。一人乗りの合体ドライブシャフトで追うことを誰が決行するかを悩む5人だったが、角マントがみなとだということを認識したすばるは自分が行くべきだと手を挙げる。
その頃、12個目の欠片を引き寄せる間にみなとは自分のこれまでのことを思う。入院して孤独だった幼い頃のみなとが出会った友達のことだ。
ある晩にみなとが出会った不思議な少年は宇宙船のエネルギー……可能性の結晶を集めていると話す。みなとはついつい手伝いたいとお願いする。少年は快諾するが、自分に名前をつけてほしいと言い出す。みなとは彼にエルナトという名前をつける。そんな彼と暗い病室から抜け出して、魔法使いとなって冒険のような結晶集めを過ごす日々。実現と共に失われた可能性から弾かれた、可能性の結晶。それに心惹かれていくみなと。
そんな日々の中で開かれた病室の扉。開いたのはすばる。9話のあのシーンだ。結晶を集めて飛ぶみなとを流れ星だと思って願いをかけてくれたすばるに、みなとは自分が肯定されたような気持ちになる。
しかし、ちょっとしたことから「魔法」は解けていく。幼い全能感からか、エンジンの欠片を無理に追いかけたみなとは落下し、本当のみなとの姿に向き合うことになる。本当のみなとはずっと意識を失ったまま、寝たきりだった。魔法使いになってエルナトと冒険する彼、それこそが人の心から弾き出された可能性の結晶、そのものだったのだ。
自分の可能性のないこの世界を変えるかもしれない力を持ったエンジンの欠片を追い求めるうちに、みなとはエルナトを振り払い、孤独な空の、孤独な病室の、その闇に、可能性の結晶と共に沈んでいく……。
そして、長い時間を経て再び開かれる扉。すばるだ。
そんなことを考えているうちに追いついてきた魔法使い。みなとは彼女がすばるだと気づく、気づかされる。そんな中、迫りくる巨大なエンジンの欠片からすばるを庇って、巻き込まれて消滅するみなと。
消滅していきながら送る、すばるへの言葉は、すばるの心に、強く、深く、刺さる。

この10話を見た時、本当に言葉を失くす感覚でした。
何より言葉を失う思いだったのは、前回の9話『プラネタリウムランデブー』の終盤のシーンと繋がっていくところ。
宇宙の旅の最後、呆けるようなみなとの表情と涙。「僕も幻だと思っていた。でも、違ったんだね」という言葉。理の外の中での再会と共有された思い出。その直後にエンジンの欠片を見つけた時のみなとの表情。
10話を見た後に改めて見直してみたけど、そのどれもが、こちらの感情をグラグラと揺らす重力が更に増し、みなとの心境を思うと、見てるだけのこちらの心まで潰れてしまうような感覚すらある。
そして、また、大切な人を喪失したすばる。
この話を受けて、この後どうなっていくのか……。

また、みなとと出会った不思議な少年エルナトは、勿論、会長なんだけども、彼がここまでどういった思いでみなとを見ていたのかも気になってしまう。
何者でもない可能性に溢れたすばるたちを選んだのは、みなとのことがあったからだろう。どういった思いなのか、正直、自分には想像がつかない。彼はななこを通じて饒舌ではあるが、その真意は汲み取りきれない。残りのお話でそういった部分も描かれることを願う。

さて、そういったクライマックスに向けた展開は勿論素晴らしかったのだけども、それ以外も非常に素晴らしかったのが今回の10話だ。本当にいろんな部分を魅せるのが上手いシリーズだと思う。
何より、みなととエルナトだ。何が凄いって、そのショタかわいさだ。
ショタみなとの変身シーンは個人的なベストショタアニメシーンでも、かなり上位にランクインするのではないだろうかと考えている。元が病弱な少年で、変身後は王子様な感じとかも最高。
そしてエルナトもヤンチャ系と不思議な雰囲気を絶妙に併せ持つショタで、中身会長とかもうどうでもよくなる。
そして、そんな二人がイチャイチャと冒険してるんだぜ。
そうそう、「エルナト」は「突くこと」なんだって。つまりエル✕みなである。俺はリバもウェルカムですよ!
つーか、この二人の結晶集めのお話、絶対スピンオフやるべきだろ。アニメで……とはさすがに言い辛いけど、漫画か小説でもいいので、なんとかお願いできないだろうか。
毎回のことながら素晴らしいAnmiさんのアイキャッチのエルナトとみなとのイラストもそうだし、今回のエンドカードコヤマシゲトさんのエルナトのイラストの素晴らしさがまた余計にそう思わせる。ワクワクするSFの物語が始まりそうなあのイラストは、二人の冒険は凄く楽しいものだったんだろうなと想像させられる。

あと、会長の持つ技術が垣間見えたような気もして面白かった。可能性の重ね合わせ、という話が出た時に猫が出ていてなるほどと思ったけど……可能性を「重ね合わせ」にしてしまう揺らぎ。「シュレーディンガーの猫」だよね、たぶん。
あのへんが可能性のある揺らぎのある未来を任意に選びとることに繋がっていくのかなぁ……とか。まぁすげー雑な考えなんでしょうが。よくわかってませんw
なんにせよ、そういう意味では、放課後のプレアデスはすばるとみなと、すばるとあおい、みなととエルナトのイチャラブが重ね合わせになっていますね……最高だ……シュレーディンガーのイチャラブ……!

それにしても、このシリーズ、見直すのが凄く面白いなぁ。既に書いた重力の違いを感じたのもあるし、9話と10話の幼い頃の思い出のシーン、見てすぐに違いがわかる部分もあるけど、改めて見直すと細かいとこでも結構違っていて面白かった。

最後に……みなとの角マントバージョンの角が片方が折れているのはアルデバランだからなんです……?
しかし、そうか、アルデバランなのか……。