強襲する衝動と郷愁うる情動 Gusanos『Life Chord』感想
聴いたのは残念ながら年明けてからだったのだけどw、2015年の10月発売なので、個人的な2015年によかったアルバムの1つに挙げたい。
Gusanos。
Tomohiko Horai:Vocal
Yuji Tsujitani:Guitar
Tomoyuki Ose:Bass
Yoshiki Daimon:Drums
の4人からなる京都を中心に活動するバンド。たぶん、この4人にサポートギタリストを1人入れて基本的には5人でレコーディングやライブをしてる感じですかね。
個性的なメンバーが、それぞれ反応しあって極上に叙情激情なハードコアを鳴らしてくれています。
不勉強で知らなかったのだけど、結成10年で、このアルバムが初のフルアルバムとのこと。音を聴くと、ここまで10年かかったというのが、わかるようなわからないような感触。勿論、悪い意味ではなく……つまり、10年かけて育ててきたバンドの音と言われれば納得の高クオリティだし、それだけに、これほどのバンドがこれまでフルアルバムを出してないというのもまた信じられない、という感想も同時に浮かんでくるのだ。まぁメンバーの脱退やらなんやらで色々あったという情報は見かけたし、インディーズバンドだとそういうこともままある話ではあるのだけど、それにしても……である……と言わずにはいられないほど素晴らしいアルバムに仕上がっています。
ちなみに、レーベルはmkYENban……nervous light of sundayのボーカル、亀谷さんのレーベルです。そのレーベル第一弾が、このGusanosのアルバムになっています。
掴まれたのはやはりMVにもなっている『town light』。
正月に田舎に帰って暇な時にツイッタ眺めてたら、ふとGusanosのこのMVがリンクされたツイートが流れてきて……年明けの初台WALLでのレコ発の告知ツイートだったと思うけど、ナーバス出るしちょっと気になってたんだよね……みたいな感じで、なんとなく気軽な気持ちでクリックした。
衝動的に疾走するスピーディな序盤、夕暮れのような寂しさをも感じさせる後半のギターの旋律、そのドラマチックな楽曲の展開を彩る感情を絞り出すかのようなボーカル。
衝き動かされるかのように郷愁の感情を煽る響きに見事に誘われ、わけもわからないまま涙が後から後から零れ落ちる落ちる。田舎に帰って来てるのに特に何事もなく家にいて、ちょっとおセンチな気分になっていたとか、単純に年齢的に涙もろくなってるとかもあるかもしれないがw、誰か見てたらちょっとヒくぐらい涙出してたと思う。
あくまで個人的な印象ですが、自分が好きなエモーショナル・ハードコアや叙情ハードコアといったジャンルに区分けされるようなバンドは、無遠慮に人の心の引き出しを開けていくので困る。いやバンドに責任はないんだがw
ともあれ、そういったバンドの音は、青春や思春期の頃のような衝動性や青臭さといったモノを感じさせるのは勿論なんだけど、どこかでそういうモノを冷めて見ているような視点があって……それでいてまた、それを懐かしみ愛おしいと思うような気持ちも感じられ……二重三重に捻れていて、それらが複雑に絡まり混ざり合って交錯し、歌に、音に乗せて爆発させているような、そんな感触が自分にはあります。
そういった音の響きに感情のあちこちが引き摺り出されて「エモい」と思わされるのかな……などと思うのですが……こういうことを他の人と話したことがないので、他の人にも適用できるかどうかはわからないw
ともかく、この『town light』は少なくとも自分のそのへんのポイントに素晴らしくグサグサと突き刺さったのです。Gusanosのグサはエモいところにグサグサ突き刺さるのグサです。※違います
街はいろんな人間が集まって出来ている。親しい人も知らない人も、好きな人も嫌いな人も、良い人も悪い人も、出来た人もクズの人も、老若男女あれこれ揃う。そういうあれこれが街を形作っている。そんな街の、日の沈んだ暗い時間に灯される光の下には明るく照らされる場所を作ってくれるのだけど、暗い時間に更に暗い場所をも同時に作るのもまた、街の灯だ。
胸を張って大好きとは言い辛いし疎ましく思うこともあるけれど、憎みきれずなんだかんだと愛おしいと思わざるを得ない、かつて過ごした街への愛憎入り混じった郷愁を惹起するこの曲は、自分の心の中にある街の情景を照らす灯そのものになっているのかもしれない。
そういうわけで『town light』にすっかり心奪われてしまって、帰京してすぐにdisk unionでこのアルバム『Life Chord』を買って聴いたわけですけども……まず、優しい音色のギターに包まれた1曲目『days gone by』の中をつんざく咆哮にノックアウト。優しい聴き心地の演奏の中で響き渡るスクリームは絶妙な塩梅で耳を惹きつけてGusanosの世界観に引き込んでいく。心地よい余韻をもたらしながら続くのは『town light』。年明け、1月23日に初台WALLで行われたレコ発ツアーのライブでもこの2曲からの始まり方で、たまらないものがありましたね。
その『town light』の余韻がさめやらぬまま3曲目『the state of dreaming』、イントロのスネアとタムの音とバスドラの心地よいリズムが印象的で、ギターが入ってきた後のキメがとんでもなく気持ちよく、非常に快楽性の高いインスト曲。短いナンバーだが非常にいいスパイスとなって4曲目『beautiful magic』に繋がれる。魔法にかけられたかのようにノリが良く気持ちいい。終盤の4つ打ち……ではないけど……ギターのカッティングは快楽性高い。
そして、この1曲目〜4曲目の流れが非常に素晴らしく、1つの組曲のように感じるまである。ここまで聴いてもう完全にGusanosの虜になっていましたw
5曲目『revive』は、わかりやすいブレイクダウンパートがあり、このアルバムで1番ハードコアバンドらしい曲。
1月23日のライブではアンコール曲として最後の最後に演奏されたけど、フロアは激しいモッシュでしっちゃかめっちゃかでした。足が飛んできたことは覚えていますw ハードなだけでなく美しい旋律も聴かせるのは流石。
ボサノバ調に始まる6曲目『crossroads』は、洒落乙な序盤からの、ぶちまける激情が頗るかっこよく、終盤につれて高揚していくのがまたとても気持ちいい楽曲。
そんな高揚しきった気持ちを、再びトップスピードにギアを入れてくれるのは7曲目『grief and smile』。イントロの躍動しまくるシンバルとハイハットの音と、焦燥感を煽るギターの響きが前につんのめりそうになりそうな疾走感を演出していて無茶苦茶かっこいい。
8曲目の『from the identity』は、個人的にこのアルバムで1番ポップな曲に感じる。序盤の高音のギターの音とライドの組合せの瞬間とか、凄い好きw
9曲目『happy ending to you』はギターの音色の美しさが印象的なインスト曲。そこから、ラストナンバー『and walk』に導かれる。
前述の初台WALLでのライブでも本編最後を飾った楽曲。MVというわけではないけど、ライブ映像でYouTubeがあります。
ここまで聴き応えのある曲ばかりのその中でもラストを飾るに相応しい、軽やかで美しいギターの旋律にGusanosというバンドのしなやかな強さを一際強く感じる曲。最後の最後のシンガロングしたくなる咆哮とそれに続くギターのリフがまたたまらない。自分は前述のライブで体験しましたが、是非ともライブで体験してもらいたい一曲。
全体としては前評判の通り、叙情的であり、ハードコアであり、ニュースクールであり、童謡やボサノバのようなフレーズを使った曲があったりと、色んな要素が垣間見えるのだけど、その中でもGusanosというバンドの個性は存分に発揮していて、その上で一辺倒にならずにバラエティに富み、聴く者の耳を飽きさせない。
というか、おそらくAメロ→Bメロ→サビというような定形の構成を放棄していて、Aメロ→Bメロ→間奏→Cメロといった様相で、それが楽曲の起伏をより強調して起承転結が起こっているかのような、そんなストーリー性を感じさせるモノになっているように思う。
一部では「ジブリハードコア」と言われているとのことで……言われてみると久石譲テイストはたまに感じるかも。ジブリというよりは、自分のイメージだと北野映画の音楽のそれの方が近いかなという気はするけど……久石譲の音楽をそれほど熱心に聴いてはいないのでそのへんは何とも言い難いw ともあれ、映画やアニメのようなドラマチックなストーリー性を感じる楽曲は、ジブリハードコアとでも言いたくなってしまう気持ちもわからなくもない。
楽曲の上質なポップさ……間口の広さもそれを後押ししているのかもしれない。音・歌のハードな感触はハードコアバンドのそれそのものだけど、聴いて感じる軽やかさや心地よさはハードコア界隈のファンだけでなく、いろんな人の耳にいい印象を残すのではないだろうかと思う。
最近のエモ/スクリーモ界隈のバンド……ワンオクやラスベガス、SiMといったバンドのファンには勿論聴いてもらいたいし、BRAHMANやバンアパ、ドラゴンアッシュのように昔からミクスチャーやらメロコアやらポストロックやら聴いてるよって人にも聴いて欲しいし、はたまたハードな音を鳴らすビジュアル系が好きな人たちなんかにもオススメしてみたいし……というように、とにかく様々な人たちに是非とも聴いて貰いたいバンド。何かを感じてもらえるのではないかと思います。
そんな感じで、幅広い人たちに向けて届くと思えるポップな間口の広さと、その上で何度も聴いてしまうような彼ら特有の奥深い個性とが十二分に発揮されていて、素晴らしい1枚に仕上がっていると思います。
と、そんなGusanosのアルバム、リリースツアーファイナル東京編が4月17日に新宿ANTIKNOCKで、京都編が5月14日に京都GLOWLYであります。
東京編はbachoとMEANINGを迎えて、レーベル主の亀谷さんのnervous light of sunday、そして勿論、Gusanos。
京都編はBURNING SIGN、HELLNE、To overflow evidence、Vision of Fatimaに、nervous light of sundayにGusanos。
どちらも非常に激アツな面子。お近くで都合が合う人は是非にも。少なくとも、うるさい音を鳴らすバンドが好きな人はまず損はないと思います。
個人的には、今回はGusanosの物販で何か買うと特典に付けてくれるデモCDに入ってる『seasons』が聴けるといいなーと思ってる、というか、この『seasons』もまた素晴らしいので、ライブ見て気に入ったら物販で何か買ってデモ貰うといいですよ。つーか、もっと言えば何故『seasons』はアルバムに入れなかったのか。
Σ( ゚д゚)ハッ! これって、もしかして近々2ndアルバム制作開始の報が聞けるのではないだろうか。やったぜ!
話数単位で選ぶ、2015年TVアニメ10選
話数単位で選ぶ、2015年TVアニメ10選: 新米小僧の見習日記
というのをやってみようかなと。
「話数単位で選ぶ、2015年TVアニメ10選」参加サイト一覧: 新米小僧の見習日記
順番は順位ではなく、タイトル五十音順です。
『アイカツ!』125話「あこがれの向こう側」
脚本:加藤陽一/絵コンテ:木村隆一/演出:南川達馬/作画監督:酒井香澄,岡野幸男
アイカツは選ぶのが大変だった。
パッと浮かぶだけでも、大スターライト学園祭のラストのソレイユは圧巻だったし、156話のかつてのあかりちゃんのルームメイトであるユウちゃんがメインとなるお話は素晴らしかった。159話、オオゾラッコーン回ではサンライズのロボットアニメ力を見せつけられた。
新キャラののリサの登場も選択肢が更に拡がってしまうという意味で悩まされるところ。彼女たちはそれぞれのキャラもコンビとしても素晴らしく、初登場の回のののの\こんにちはーっ/は何度見ても飽きることはない。また、二人のステージもスターライト入学テスト、入学後、プレミアムドレス入手時と、ダンスが少しずつ変化しているのも見逃せない……というように、いちいち選外の話をしてるとキリがないのでこのへんにしておくけど……その中で選出したのは125話、ソレイユの大規模な全国ツアーの旅立ちの日の話です。
ツアー準備からツアー出発までの話が展開されるのですが、圧巻は終盤。ソレイユのステージは最早貫禄すら漂うのですが、曲目が当時のエンディング曲であった『Good morning my dream』。曲の後半ではツアー出発の様子が映され、スター宮の「フフッヒ」で本編を締めました。その後、いつもなら勿論、先程までソレイユの歌っていた曲が流れるところです……が、流れたエンディング曲はなんと『カレンダー・ガール』。
この曲は初代エンディング曲で、アイカツファンとしてもいちご世代を強くイメージする部分があって……アニメとして、いちご世代からあかり世代へと移り変わる節目のこのタイミングで、このエンディングを持ってきたアイカツスタッフの心意気に涙を我慢することはできませんでした。
とはいえ、何事も世代交代というのは少しの寂しさが伴うもので……これほどの素晴らしい花道がいちご世代に用意されていても、ファンとしてはやはり寂しい気持ちは解消……とはいきませんが……それを含めても素晴らしい世代交代だったと思います。
『アイドルマスター シンデレラガールズ』17話「Where does this road lead to?」
脚本:雑破業/絵コンテ:鈴木健太郎/演出:矢嶋武/作画監督:田村里美,古橋聡
とときら学園回。個人的にデレマスで1番好きなお話です。
美城常務の方針と、それに対抗する部署、また個人的な悩みとで翻弄される城ヶ崎姉妹とみりあがメインのお話。
表現というのは、できる・できない・したい・したくないではなく、本質的にはやるのか・やらないのかである、ということを再認識させられました。それを宣言するかのような、最後の城ヶ崎姉のポスターの輝きは、個人的にはデレマスのハイライトになっています。
また、「姉」という存在がフィーチャーされているのもポイントですね。城ヶ崎姉とみりあの姉トークはもっと聞きたいところでありました。
そうそう、この回の脚本である雑破業さんといえばオネショタなんです! 実は自分が初めて読んだジュブナイルポルノが雑破業さんでして、『ゆんゆん☆パラダイス』というのですが……このへんでやめておきますw
『VALKYRIE DRIVE -MERMAID-』5話「ジャイアント・ガール、リトル・ハート」
脚本:雑破業/絵コンテ:朝倉カイト,金子ひらく/演出:川西泰二/作画監督/吉田篤史,船道愛子,内原茂,原山智
続きましてもその雑破業さん脚本のお話になります、ヴァルドラ5話。
性的興奮により可愛い女子が武器に変化するという設定がトリガーとなって展開されるこのアニメ。
このお話でフィーチャーされるコンビは元々野球でバッテリーだった二人。相性もバッチリ……だった筈が、武器側がどうしても変化しない。そこでコンビの組み直しを命じられ、武器側が逃げ出したところ……おっきくなっちゃった! という感じの流れなのですが……ええと、上手く説明できないなw
会議での、金子ひらく監督の「巨女っぱいやりたい!」の一言から練り上げたお話だと思うと、感動も一層深まる結末になっております。
また、冒頭の「きのこのこのこ男の子〜」という歌も最高ですw
『おそ松さん』5話「カラ松事変」「エスパーニャンコ」
脚本:松原秀/絵コンテ,演出:サトウ光敏/作画監督:山本佐和子,富田美文
単純に、こういう話好きです……エスパーニャンコ。
他にも好きな話は多いのですが、推し松が一松と十四松なので、やはりこの話がたまんないなと。
全体としても、コメディとエグさと洒落てる部分が絶妙で何度も見たくなる中毒性が高く、凄くいいアニメになったなぁと思います。
『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』9話「盃」
脚本:岡田麿里/絵コンテ:大橋誉志光/演出:池野昭仁/作画監督:大貫健一,大籠之仁,(メカニック)大張正己
オルガが可愛い、これは総受けと俺の中で大好評のガンダムの新シリーズ。搾取される世界やテロやレジスタンスなど、世相を反映しての感じだなぁ……と思っていたら、ぶっこまれるヤクザ・愚連隊テイスト!
これまでCGSでクソみたいな大人に囲まれて生きてきて、ここにきて立派なヤクザに出会って感化されるオルガ。そして、それも含めて状況に翻弄されるクーデリア。そんな二人の側に立つミカヅキ。
このお話では、正式に鉄華団がテイワズ傘下に入る様子……名瀬とオルガの兄弟分の盃の場面が描かれるのだけど、それがたまらなかった。名前の漢字や衣装も面白かったのだけど、やはり式。オルガの台詞、表情、仕草、それにリンクして入ってくるエンディング曲にゾクゾクとしました。このアニメ、本編からエンディングへの入り方が非常に秀逸だなぁと思うのですが、その中でもこの回が好きです。
それにしても、どう考えても、この先もっともっと辛いことキツイことが起きるとしか思えないのですが、面白いんだから仕方ないよね……。
あと、ヤマギくんの出番増やしてください!
『Go! プリンセスプリキュア』43話「一番星のきらら! 夢きらめくステージへ!」
脚本:田中仁/絵コンテ:黒田成美/演出:岩井隆央/作画監督:爲我井克美
プリンセスプリキュア、全体的に素晴らしいのですが、中でもやはりきらら回はたまらないモノがありますね。
人の夢を守るという使命が為に、己の夢を諦めることを決断をしようとする、きららのその苦悩は察することができない程だと思うのだけど……そんなきららをはるか達が夢に向かう道に引き摺り戻したやり方が素晴らしかった。
安易で単純で強引といえばそうなのだけど、それが故にステージに立ったきららの説得力がモノを言った。ステージを降りるべきではない人間が描かれ切っていて、本人が強くそれを望むのならば、正義の味方の使命ごときで人の夢を潰すことはできないことを示されていて、「夢を守るプリンセスプリキュア」としてもよかったのなぁと。
『響け! ユーフォニアム』12話「わたしのユーフォニアム」
脚本:花田十輝/絵コンテ,演出:三好一郎/作画監督:丸木宣明
既に感想エントリ書いてるので、特に書くことがないw
好きという呪いと希望 響け! ユーフォニアム 12話『わたしのユーフォニアム』感想
『放課後のプレアデス』8話「ななこ13」
脚本:浦畑達彦/絵コンテ:春藤佳奈,佐伯昭志/演出:玉田博/作画監督:橋口隼人,空賀萌香
こちらも同上て感じなんですがw
いつかポ・ワ〜ムする日 放課後のプレアデス8話『ななこ13』感想
この『放課後のプレアデス』は今年の深夜アニメでは勿論、これまで見たアニメの中でも好きな作品の上位に入るくらいに好きで、且つ全体としては勿論、それぞれの話としても好きなのが多く、選ぶのが大変でした。特に、この話と4話「ソの夢」、10話「キラキラな夜」はどれもベストと言えばベスト言えるくらいに好きなのでw
では、何故選んだのかというと、この話が1番エキサイティングに感じたから……とかですかね。孤独な探査と仲間、ななこの過去、距離と時間の飛び越え……凄くドキドキだったり、ワクワクだったり、ハラハラだったり……いろんな感情を1番突き動かされたのが、この話だった気がします。
これまで、GAINAXの1番好きなアニメは『フリクリ』だったのですが、これからは対抗馬にこの『放課後のプレアデス』が立ちはだかることになりましたね……本当にいいアニメでした。
『ローリング☆ガールズ』8話「雨上がり」
脚本:むとうやすゆき/絵コンテ:平川哲生,江原康之/演出:浅見松雄,金森陽子/作画監督:九高司郎,横田匡史,小沢円,世良コータ,本村晃一
やはり最後の圧巻のライブシーン。
ハチャメチャなバトルとリンクして必死に演奏するバンドの姿だけでも素晴らしいんですが、サビの後に入ってくる三味線ソロとその豆千代ですわ。
鬱屈としたモノを抱えてきた豆千代の開放されて、残らず吐き出すかのように弾ける音と映し出されている豆千代の様子には、画面に映っている輝きの何倍も輝いてるように見えて、溢れ出る涙を止めることができませんでした。
また、この『STONES』という曲はブルーハーツに対する、『ローリング☆ガールズ』からのアンサーソングという位置づけなんだとか。ブルーハーツのカバーを使用しながら、この場面でこの曲を持ってくるという心意気にもグッとくる。
そして、何より、そんなことどうでもいいと思えるくらいに、名無しの僕らが擦り減りながら「この世界を笑い転げて明日へ」、というのはとんでもなく、素敵だ。
名無しの何にもない自分にはどうしようもなく、どんなに抗っても流されてしまうだけになってしまう時もある。でも、あくまで笑いながら転がってやらあ! という、無駄にポジティブでもなく、無駄にネガティブでもない、宣言。
そんな風に自分もなりたい、とそう思わせてくれるいい歌、いいシーンでした。
『ワンパンマン』12話「最強のヒーロー」
脚本:鈴木智尋/絵コンテ,演出:夏目真悟/作画監督:久保田誓,(アクション)小田剛生
いやもう、単純に凄いバトルシーンでした。これまでで最強の敵と闘う最強のヒーロー、サイタマ。それをバッチリ実感できるバトルで、見てるだけでめっちゃくちゃ楽しかった!
そういう凄いバトルシーンだったからこそ、最後のボロスの燃え尽きた姿が映える。
あと、タツマキちゃんが堪能できたのも最高だった。
という感じです。
初めてやってみて思ったのは、自分はアニメにおいて画面の説得力みたいなのを重視してるのかもなぁと思った。それには絵だけでなく、音楽や声優も含まれるのだけども。
話そのものがどんなに素晴らしくても画面の説得力が追いついてないといまひとつに思えてしまうし、説得力さえあるとお話がどうなのと思う部分があっても所謂剛腕で捩じ伏せられてしまう感があるというか。
この企画自体、話数単位で考えるのが凄く面白いなと思ったけど、自分にはそういう部分があるなと自覚できたのもよかった。
OP・ED10選もやりたい。
▲∴△『be unconscious zizz presents Time After Time』at 初台WALL 感想
be unconscious zizz企画のライブイベントに行ってきました。
面子は
Take Out Bright
BLACK BUCK
SPARK!! SOUND!! SHOW!!
be unconscious zizz
初台WALL、着いたらドア前の受付が水浸し……というか水没気味。何があったの初台WALL。
それはいいとして20時前くらいに着いたのでBLACK BUCKはもう始まってた。なんとなくTake Out Bright見逃し続けてる感ある……。
しかし、やはり、とんでもなくかっこいいBLACK BUCK。
メロコアやスカパンク、何でもいいけど、この年代の人らのハードコアパンク系のバンドはギター、ベース、ドラム、それぞれ1つずつなのに、なんでこんなに音がなんというか、逞しいのかと思う。同じ構成の若いバンド見てると、曲も悪くないし、技術自体はあるんだけど、たまに全体としてスッカスカに感じて頼りない音だったりする。
まぁ勿論、バンドの経験の違いはあるだろうし、聴いてる自分もそういう感じの出音が好きなだけ、とか色々あるんだろうけど……。
なんにせよとてもかっこよかった。この年の瀬、I HATE SMOKE RECORDSの忘年会イベントや爆裂FxAxDにも出るらしいですが、何より年明けのF.A.Dのフロアライブの企画に来てほしいとのことw 面子はハスキンとTHRHと、あともう1つ近日中にとのことだそうで……確かにハスキンとTHRHのフロアライブというだけでも魅力的……!
お次はスサシことSPARK!! SOUND!! SHOW!!
あれ、ドラムの人が違うと思ってライブ終わってからサイト見たら、脱退してました。詳しいことは特に書いてないので、ついこないだまでライブ出演キャンセルが頻発してたのもあるし、まぁ色々あったのだろう……と思うことくらいしかできないけどもw
それはともかく、ライブは「ドツくあいつの胸倉掴み中!」とスタート。
ドラムはサポートの人ですが、違和感はそれほどなく。なんとなく全体的に少しテンポアップしてたように思うけど、ライブのスピードとしてはまぁこんなもんかなと思える範囲。
途中ちょっとした機材トラブルはあったものの、ライブはスサシらしいカオスポップなライブでよかったです。
トリは勿論be unconscious zizz。
今回のライブはバンド自身も8ヶ月振りということでしたが、ベースボーカルであるtdcさんが渡米するとのこと。解散というようなことは明言してませんが、be unconscious zizzは実質、休止状態になるということでしょうか。
この日は元JUNK FOOD PANICのISONOさんとNo Gimmick ClassicsのHIЯOMさんがギターとしてサポートに入ってのフォーピース。
音源『Alter, Encounter.』のM-1、ベースの和音と「MIC Check One Two」の美しさが印象的な『roundabout』で幕開け。
be unconscious zizzは、楽曲にしてもボーカルにしても、そんなに激しいタイプの音楽ではないのだけど、ベース、2本のギター、ドラム、ボーカル、コーラスのそれぞれの音の組み合わさった結果、非常に感情が揺さぶられる音を浴びせられる感触があって、この日のライブでもやはりそうでした。
be unconscious zizzを初めて見たのは2014年7月、先程のBLACK BUCKのF.A.Dでのフロアライブ企画『NEVER QUITS』。まだギターのnaritaさんとJUDAHさんが在籍していて、その4人が向かい合うような形になってフロアで演奏していました。一目で気に入って音源を購入。帰宅して聴いて、ジャケットの電柱写真いい感じだし、この感じで9曲入り1500円切るのはお得過ぎるなぁ……と思ったのを覚えています。
その後、naritaさんとJUDAHさんの脱退ライブ見た後はなんだかんだと見れないうちに……久しぶりに見たのが今回のライブ。これまで見たのもたまたまなんですが、なんとなく節目節目な感じのライブを見れてるのは不幸中の幸いなのかどうか……なんともかんとも。
音の重なりの美しい楽曲が目の前で演奏されてることの幸せを感じながら、そんなようなことがふと頭を過りました。別に、何年も見てきたとか、数え切れないほどライブを見てきたとか……そういう感じでは全くないんですけどw、音源は購入してから百回は下らない数を聴いていて、改めて、しばらく見れないと思うと、やっぱりちょっと寂しいなぁ……と。
あと、HIЯOMさんのギターが凄くよかった。No Gimmick Classicsではどうしてもラップが目立つ部分があるんですが、ギタープレイも非常にかっこいいんですよね。
バンドは、セトリを見せてもらったわけではないのでアレですけど、音源に収録してた曲は大体やった感じだったと思います。アンコールはJUNK FOOD PANICの曲をやり、打ち上げタイムに突入ということでライブは終了。
非常に幸せな時間を過ごさせて頂きました。
be unconscious zizzはもうしばらく見れないのかなと思うとやはり寂しいのですが、入魂(?)の三角バンドロゴ蓄光プリントTシャツも買えたし、また見れることをあえて楽観的に信じて、またいつの日にかbe unconscious zizzを見れることを待ちたいと思います。
ていうか帰ろうとしたら受付ほぼ水没してるんですけど、どうしたの初台WALLw
『FAT WRECKED FOR 25 YEARS』at 幕張メッセ 感想
行ってきました、FAT WRECK CHORDS25周年イベント@幕張メッセ。
FAT WRECK CHORDSとは、アメリカのメロコアの親分衆の1人であるNOFXの中心人物、ファットマイク(と当時の妻エリン)が立ち上げた音楽レーベル。所謂パンクロック、特にメロコアやポップパンクといったバンドを中心に展開されているレーベル。海外のパンクロックミュージックに興味ないとあまり聞いたことないかもしれませんが、意外と日本のパンクロック、特にメロコアのシーンに置いてはかなり重要な位置付けになると思います。
日本のメロコアの親分衆の1人といえば今回のイベントにも出てるハイスタことHi-STANDARDになると思うんですが、そのハイスタが爆発的に全国のパンクロック好きに広まったのはFAT WRECK CHORDSから『GROWING UP』がリリースされたり、レーベルから出るコンピに参加したりということが少なからず影響したのではないかなぁと個人的に考えています。
というのも、当時……90年代中期くらいでしょうか……その頃は邦楽のパンクロックといえばブルーハーツのようなバンドという印象が一般的で、メロコアというのは海外のNOFXやRANCIDのことだと認識してた人が多かったと思います。自分みたいな高知の田舎でシコシコCD聴いてるだけの人間には、余計にそうでしたw そんな中で海外のメロコアを聴いているうちにFAT WRECK CHORDSといったレーベルがあることを知り、そこからHi-STANDARDという日本人のバンドがアルバム出したりコンピに参加したりしとるぞ、というのを見るわけですな。
勿論、ハイスタは当時から既にライブハウスなどで人気あっただろうと思いますし、いずれ世に広く知られるようになり人気が出て国内メロコアを拡めるバンドになったとは思いますが、それを初期に強く後押ししたのはFAT WRECK CHORDSであっただろうと思います。その後押しされたハイスタが中心となって、PIZZA OF DEATHが生まれ、AIR JAMが開催され、日本のメロコアシーンを活性化させたことを考えると、やはりFAT WRECK CHORDSの存在は大きかったのではないかなぁと思わざるを得ません。
と、まぁそんなFAT WRECK CHORDSの25周年のイベントがこの『FAT WRECKED FOR 25 YEARS』になります。
出てる面子がまた心憎い。
toyGuitar、Masked Intruder、The Flatliners、Western Addiction、Swingin' Utters、Snuff、Good Riddance、Strung Out、Lagwagon、NOFXという向こうのFAT WRECK CHORDSに馴染み深いバンドに加え、日本のHi-STANDARD。そして、2012年に逝去したNo Use For A Nameのボーカル、トニースライのトリビュートしてやるセッションパートとして、TONY SLY TRIBUTE:No Use For A Name Cover Set。
これ、特に当時のメロコアを好きだったオッサンオバサンにはたまらない面子です。先程挙げたハイスタが参加したFAT WRECK CHORDSのコンピは『SURVIVAL OF THE FATTEST』と『Physical Fatness』になるのですが、これにハイスタと一緒に参加していたのがNOFX、Snuff、Lagwagon、Good Riddance、Strung Out、No Use For A Nameといったバンドになります。
11.14に同じく幕張メッセで行われたBRAHMANのイベント『尽未来際』でMONGOL800、SCAFULL KING、COCOBAT、HUSKING BEE、COKEHEAD HIPSTERS、SLANG、Hi-STANDARD、BRAHMAN、に加えてSUPER STUPIDがサプライズ出演したこともあり、完全に「あの頃」の面子がメロコア/ハードコア好きの間で話題になりました。これも行きたかったのですが、その日は既にASPARAGUSとdustboxのツーマン@F.A.Dのチケットを確保(前売ソールド)していたし、そちらも大変に楽しみだった為に断念。
まぁそんな尽未来際の面子と同じくらいに、このFAT WRECK CHORDSのイベントの面子もたまらない感触があります。特に、亡くなったトニースライのNo Use For A Nameのカバーセッションがあるのは言いしれぬモノがありますね。
そんなこんなの、いろんな気持ちを抱えて楽しみに向かった幕張メッセ。
相変わらず遠いなと思いながら電車に乗っていると、全体的に細身なシルエット、上着は黒レザーのライダースジャケット、足元はドクターマーチン、1人はモヒカンというガッチリパンクスの3人組が乗ってきて、午前中からこんなパンクス見るなんて、あぁ俺はFAT WRECK CHORDSの25周年に向かっているんだな……でも、パンクスがスタートの時間に間に合うように午前中からきっちり移動してるなんてなんだか変な感じだな、いやまぁ仕方ないけど……などと妙な感慨を覚えながら海浜幕張駅に到着。駅を降りると、幕張メッセに向かいそうな連中は朝からアルコールを摂取していて安心しましたw
序盤のtoyGuitar、Masked Intruder、The Flatliners、Western Addictionの4組は持ち時間30分組。
みんなよかったのだけど、中でも印象に残ったのは覆面バンドのMasked Intruder。ポップで綺麗な美メロとハモリのポップパンク。そんな楽曲と対照的にも思える、バンドのパフォーマー? が破天荒、且つコミカルに暴れ回るライブの様子は非常によかった。あれ? いなくなった? と思ったら、ファットマイク抱えて出てきたのはクソ笑ったw
中盤のSwingin' Utters、Snuff、Good Riddanceの3組は持ち時間45分組。
印象に残ったのはやはりSnuff。何度見てもダンカンのドラムボーカルって、もうそれだけでインパクトあるよね。勢いのある楽曲とスカの楽しさの相性は言わずもがなの素晴らしさ。ファットマイクや難波さんの乱入なのか招き入れたのかという場面もあり、フロアも非常に盛り上がりました。
余談だけど、ダンカンがSPREADのTシャツを着ていたの、SPREADファンとしてはアガる出来事だよね。本当にSPREADのこと好きなんだなぁと。SPREADとツーマンとかまたしないかなぁ。
そして、Strung Out、Lagwagon、NOFX、Hi-STANDARDの4組は50分組。フェスで50分はなかなかしっかりした持ち時間。実際、4組とも人気実力共にヘッドライナーでもおかしかない……とはいえ、NOFXとハイスタはやっぱ凄かった……。
往年の名曲『LEAVE IT ALONE』や『don't call me white 』、オーシャンゼリゼやRANCIDの『Radio』のカバーなど、バンドの好演にフロアもガンガン応えていくのだけど……やはり『Linolium』の爆発具合は凄まじかった。カリフォルニアのメロコアの親分の風格を見せつけられました。
そして、実質的なトリのハイスタ登場。フロアはStrung Out、Lagwagon、NOFXでライブイベントとして既に十分なクライマックスと言える盛り上がりを見せたが、まだまだこれからだと言わんばかりの雰囲気。
そんな雰囲気の中、始まった曲は『MAXIMUM OVER DRIVE』でフロアはぐっちゃぐちゃ。自分はしっかり見たかったので、そうなるであろうエリアから少し外れてポジショニングした筈だったが何度もふっ飛ばされるw ふっ飛ばされる度に微妙にポジショニングし直してたけど、その度に何度も何度もふっ飛ばされたw 嫌がらせを受けていた可能性もなくはないがw、そんなくだらないことではなく、いたる所でモッシュやサークルができるカオスな状況だったのだろう。で、それはメロディックハードコアの現場としては最高な状況だ。
次々と披露されるキラーチューンの中で、『MY SWEET DOG』『WAIT FOR THE SUN』『CALIFORNIA DREAMIN'』も披露される。FAT WRECK CHORDSのコンピ『SURVIVAL OF THE FATTEST』と『Physical Fatness』に収録されている曲ですな。『WAIT FOR THE SUN』ではファットマイクをステージに招き入れフロアも大シンガロング、『CALIFORNIA DREAMIN'』のエモさはフロアを休ませるどころか、一層もみくちゃにするよねw カリフォルニアで夢を掴んだとも言えるハイスタが、この曲をこのシチュエーションでやるのを見られる幸せ。
そして、FAT WRECK CHORDSという偉大なレーベルに感謝とリスペクトを込めて演奏された『STAY GOLD』。FAT WRECK CHORDSがなければハイスタはなかった、とMCで断言した彼らの今までの輝かしいキャリアの中でも頂点の楽曲と言える『STAY GOLD』は、更に輝いたように見えた。
からの、ラストナンバーは『CAN'T HELP FALLING IN LOVE』で締め。その楽曲同様の激しさと優しさが会場を包み込んだ中でハイスタのライブは幕を閉じました。
NOFX→ハイスタのライブが終わったフロアは正に死屍累々といった様相w 凄かったなぁ……。
で、最後の最後はTONY SLY TRIBUTE。それぞれいろんなバンドから入れ替わり立ち代わりNo Use For A Nameのカバー曲を披露。Snuffのダンカンがドラムナシでボーカルに入って、ドラムがないと落ち着かない、カラオケスタイルというようなことを言ったりw、和気藹々としていて凄くいい雰囲気でした。それを見ていていろんなとこで涙ぐみながら、例によって『SURVIVAL OF THE FATTEST』収録曲であり、個人的にも大好きな『Justified Black Eye』がボーカルファットマイク、演奏ハイスタというセットで最後に披露され、最高の締めくくりでイベントは終了。
10時間の長丁場、全てのバンドがパンクバンドで、見てる方もかなり疲れたけど、笑顔と感涙ばかりが溢れてくる素晴らしいイベントでした。
FAT WRECK CHORDSというレーベルの周年イベントのお祝い感と共に、この面子にNo Use For A Nameがいない寂しさもあったのだけど……出てくるバンドみんながトニースライへのリスペクトを口にしていて、その歴史の中でトニースライが如何に愛されていたかということがわかって、ファンとしても嬉しいイベントになりました。
FAT WRECK CHORDS、また周年イベントが日本で開かれる日があるといいなぁ……。
疾走する魔法少女のカランビット! 『魔法少女特殊戦あすか 01』感想
「魔法少女にこんな残酷な運命を背負わせるなんてひどいよ! あんまりだよ!」
この漫画の虚淵玄さんの帯にあるコメントである。
それを見て読む前の俺
「ハハハ、おまいうかよ。大体、魔法少女が酷い目に合うのなんて、それこそまどマギの大ヒット以降、珍しくなくなったじゃないか。いくら目を惹かせる為の帯コメントだからって盛り過ぎですわw」
という経緯の末、読んだ後の俺
「ひどいよ!! あんまりだよ!!」
原作は深見真さん、作画を刻夜セイゴさん、軍事設定協力に田中尚也さんが入って強力にビルドアップされた、ミリタリーテイストの魔法少女モノ漫画になっております。
原作者の深見真さんといえば、前述の虚淵玄さんと組んで脚本を書いた『PSYCHO-PASS』、前期に話題になった『がっこうぐらし!』、今期は『ゆるゆり さん☆ハイ!』に入っており、最近はアニメの脚本で名を馳せていますが、元々はラノベやその周辺を主戦場としている作家さん。
この漫画のように『ちょっとかわいいアイアンメイデン』(4コマnanoエース)や『マーメイド・ラヴァーズ』(コミックアース・スター)など、漫画原作を担当することも増えていて、いろんな場面でその名前をお見かけすることが増えてファンとしては嬉しい限りです。
そんな深見真さんの元々の主戦場であったラノベでは、これまでも『僕の学校の暗殺部』(ファミ通文庫)や『GENEZ』(富士見ファンタジア文庫)など、血と硝煙の煙る、且つ、キャラが酷い目に合うような作品はある意味お馴染みとなっておりw、こういった作品だったとしてもそれほど驚きはないのですが……今回のこの作品はなかなかどうしてと言いますか、いつにも増してエグいなと感じた次第です。
お話の舞台は、地冥界(ディスアス)の魔物の侵略に救世主として現れた魔法少女によって救われた後の世界、ということになります。
救世主となった複数の魔法少女のうちの1人……それがタイトルにもなっている主人公の魔法少女あすか、となるんですが……前提である地冥界の魔物との戦いも一部始終描写されていて、これがまた凄惨。あすかが魔物に仕打ちを受ける場面があるんですが、これがもう「えげつない」ってこういうことをいうのかと妙な関心すらしてしまう場面でした。
そんなこんなで人類を救った後、あすかは魔法少女を引退し日常に戻ろうとするのだけど、人類を救う強大な力を持った魔法少女は周りが、状況が放っておいてはくれず、戦いに引き摺り戻されていく……といったところが1巻のお話、というところでしょうか。
自分が特にエグいと思ったのは、日常に戻りたいと思ったあすかが戦いの場に引き摺り戻される場面。
その場面もまた凄惨ながら、だからこそ魔法少女として、スーパーヒロインとして君臨したあすかは、美しく、また強い……が、見ているとどこか儚く感じて、切ない気持ちになる。
その後、当時の仲間の魔法少女の1人、くるみとの再会もあるのですが、これがまた、色々な観点でヤバイ……。
……まぁ確かに不穏な雰囲気の表紙だし、虚淵玄さんの「ひどいよ! あんまりだよ!」の帯コメントがあるとはいえ、ページを開けば巻頭のカラーページはあすかの変身シーン。それは、わりかし「魔法少女!」て感じの絵とノリで、まぁひどい魔法少女モノと言ったってこのノリではあるよな……と思ったところで、よくよく見てみると、あすかが変身に使うアイテムは、カランビット、ですからね。
ミリタリーナイフで変身する魔法少女。作中でもチラリと描写されてましたが、この世界の魔法少女アイテムのビジネス、少し気になるところですw
そして、深見真さんといえば百合(断言)。
前述の通り、今期はゆるゆりのアニメ脚本に入っておりますし、そもそもの百合姫の方で表紙絵に付属する小説も書いてたりもしました(カズアキ✕深見真『GIRLS UPRISING』としてまとまっています)。ラノベの方でも様々な作品で百合な女の子が登場します。この作品でも、直接的な表現はありませんが、その片鱗はプンプンと感じさせてくれていて、先々が非常に楽しみなところです。
あと、Rebisさんとのトークショーに参加した者としては、メインの登場人物に褐色少女が出てきてるのが、非常に気になっています!w
また、深見真さんの魔法少女モノといえば、Twitterで連載し、ドラマCDにもなった『拷問魔法少女ドゥームズディあやね』も記憶に新しいところ。
ドゥームズディあやねは、タイトルの通り拷問をする魔法少女のお話で……1話を雑に説明すると、ヤクザの「後始末」の場面に、人間を処刑する悪い魔法使いが出現しヤクザが襲われるのですが、そこで「まっすぐつらぬく信念の暴力!」と魔法少女あやねが現れて悪い魔法使いを追い返す……事件は解決と思ったら、生き残ったヤクザを拷問して帰るという酷く最高のお話で、あすかとは大分ノリは違うんですけどもw
以前『アフリカン・ゲート・カートリッジズ』(角川書店)と『疾走する思春期のパラベラム』(ファミ通文庫)で、ほんの少しだけですがクロスオーバーする場面があったのもありまして、『魔法少女特殊戦あすか』と『拷問魔法少女ドゥームズディあやね』でも、少しだけでいいので何かやらかしてくれないかなぁと淡い期待をしていますw
大好きな作家さんということもあって深見真さんの話ばかりになってしまいましたが、刻夜セイゴさんの作画がまた素晴らしいです。
少女たちの可憐さや可愛さは勿論、危うさみたいなのがとてもよく出てますし、バトルの迫力やちょっとグロい場面の臨場感で、作品の世界にグイグイと引き込まれていきました。
サッチュウの挙動やカバー裏あたりのかわいらしさや馬鹿馬鹿しいノリの漫画も楽しいのがまたいい。
と、まぁそんな感じで非常に楽しい1巻でしたが、やはり、1巻。まだまだ導入部という感じでもあって……どう考えても魔法少女たちは様々にいろんな目に合うし、それを深見真さん、刻夜セイゴさん、軍事考証に入っている田中尚也さんを含めて、これからどう見せてくれるのか凄く楽しみです。
迸る音の波 2015.9.23『MUSQIS EP Release Party [NEUROGRYPH 30]』at 下北沢ERA 感想
この日は10.7に発売されるMUSQIS初のスタジオ音源の先行レコ発ライブということで下北沢ERAに。
MUSQIS✕WRENCH✕UHNELLYSという強力なスリーマン。更に、MUSQISがドラム・ギター・ベース+α(トランペットやキーボードなど本当に多種多様)で構成メンバー、その人や数すらも不定形のバンドとはいえ、総勢10人というおそらくMUSQIS自身としても異色な日ということで、始まる前から非常にワクワクしながらオープンの19時頃にERAに着いたら……スタート押してるので少しお待ちくださいのアナウンスw
思えば、確かに総勢10人のMUSQISに、WRENCHにUHNELLYSと非常に準備やらセッティングやらリハやらに時間がかかりそうな面子ではあるw とはいえ、言うほど時間もかからず入場できましたw
というわけで、この日のトップはUHNELLYS。
失礼ながら不勉強で、チラッと聴いたことあるぐらいのバンドだったのだけど、これがめちゃくちゃ凄かった。
ライブを見る前はローファイな感じのロックとエモい感じのラップなイメージで……ギターボーカルとドラムの2人でライブやってるとのことなので、同期の音とかがバンバン入る感じなのかなと思ったら……2人がリアルタイムに出せる音をその場でその都度サンプリングしてループさせてるぽい……同期なんてほぼないように見える。まぁ俺の耳なんて信用できるもんじゃないけどもw
ギターもバリトンギターなので低い音が出るのでベースはそれをどうにかこうにかしてという感じだと思うし、トランペットやコーラスも逐次サンプリングしてループさせて重ねてという感じで……とはいえ、どうやってるのか詳しいことは全くわからないんだけど、もうこれだけで圧倒されてしまった。
勿論、曲自体もかっこよくて、ライブで聴くと更にかっこよく聴こえたし、ファンになってしまった。またライブ見たい。
2番目はWRENCH。
流石の爆音サイケハードコアといった様相。圧倒的音量と圧倒的グルーブで眩暈がするほど。音の圧力てのはまさにこれのことなんだなと実感させられる。
前に見たのは、中野MOONSTEPの周年イベントの時の90年代セットの時か。90年代セットは90年代セットで『時空自在』とか聴けて凄くいいんだけど、今のWRENCHはやっぱりこっちなんだなぁと。
素晴らしかった。
トリは勿論MUSQIS。
既に書いたけど、この日は総勢10名の大所帯。ドラム2人、ベース、ギター4人、キーボード、トランペット、クラリネットという編成。
MUSQISはいつもドラム、ベース、ギターという本当に基本的なパート以外はいろんな楽器、いろんな人が入り乱れるバンドではあるものの……去年から十数回と見てるけど、ここまでの大所帯を見るのは初めてw
ライブそのものは、ある意味いつものMUSQIS。混沌としていながらも纏まっていて、且つ、その日にしか見れない表情のMUSQIS。いつも通りだけど、いつも同じではないMUSQIS。
この日は更にVJにTSVという方が付いてて、とても雰囲気があった。MUSQISはジャンル的に分けたらプログレとかになるんだと思うけど、そういった音楽とVJは相性抜群だなぁと。そういう意味ではこの日のMUSQISは11人ということになるかw
見れなかったけど、JAMフェスでもVJとのコラボレーションライブしていたし……ビジュアル面、バンドロゴや音源のアートワークなんかもドラムの野口さんの手によるモノらしく……活動体としてのMUSQIS、と捉えても面白いバンドだなぁと思う。
そして、会場で先行発売されたMUSQISの音源。
曲目は
1. Idiot Cop
2. Feeling Chain
3. Home(4AM)
4. Feeling Chain (jitteryjackal RMX)
5. Home(4AM) (k-over RMX)
の5曲入り。1400円。
曲自体は、ライブを見てる人には既にお馴染みの曲ばかりだけど、改めてスタジオ音源として落ち着いて聴くと興味深い。
MUSQISは構成も人も変わるし、ライブ毎に表情を少しずつ変えるのだけど、毎回共通してる部分もある。これまで述べたような沢山の音が重なり合うMUSQISがMUSQISたる故の混沌さと、その混沌の中で脈打つ静と動のコントラストの美しさ、とかなのかなぁと聴きながらぼんやりと考えた。
この音源に入っていない曲も含め、音的に激しい曲も少なくないのだけど、根底の部分で綺麗な曲だなぁと感じるのはそのへんにあるのかなぁと。この音源に収録されている3曲には、そんなMUSQISの特性が詰め込まれている気がする。
そういう意味では、このレコ発先行ライブで大人数の(おそらく音源とほぼ同じ構成の)MUSQISが見れたのは僥倖だなぁと思う。
また、音源のアートワークも凄くいい。前述の通り野口さんの手によるモノだけど、加工・コラージュされた都市の写真だと思うんだけど、これが曲と共に非常にMUSQISらしいように感じる。凄くかっこいい。
10.7にタワーレコード新宿店やディスクユニオン下北沢店あたりで正式に発売されるようなので、気になる方は是非。
あと、この日は元eastern youthのベースの二宮さんが来てた。また、JAMフェスのトンカツ+MUSQISみたいなことがあるといいなぁ……などと思いつつ。
そういうわけで、タイトルにも付けましたが、MUSQIS、WRENCH、UHNELLYSが三者三様に溢れる程に迸る音の波を叩きつけてくれる最高のスリーマンで、今年見たライブイベントの中でも間違いなく上位ランクに入る面白いライブイベントでした。
こういうライブがあるから、ライブに行くのはやめられない。
アラウンドザワールド 2015.8.14『SABANNAMAN presents「MAGIC MUTANT TOUR」』at 下北沢ERA 感想
6月に出たSABANNAMANの1stフルアルバム『MAGIC MUTANT』のレコ発ツアー初日に行ってきました。
『MAGIC MUTANT』が出てから……またこのツアーの詳細が出てから、この日がとても楽しみで楽しみで仕方なかった。アルバム出した後にもライブ自体はちょくちょくあってそれは見ていたけれども、そのアルバム自体のツアー……ライブとなると、見ている方としても気持ちとして期するモノがあるというか……まぁとにかく楽しみで仕方なかった。
共演する面子も、forestribe、VVORLD、Mrs. WiENER、LEXTに、主役のSABANNAMANと面白いラインナップ……と書きながら安定の遅刻。お盆休み期間は電車ガラガラなのはいいなぁなどと思いながら……ライブの方は、残念ながら楽しみにしていたforestribeとVVORLDは見れず。とりあえず3バンド目のMrs. WiENERのライブに間に合いました。そういえば、このブログ1発目のエントリ、SABANNAMAN企画の『Tell Me Africa』の時も、寝坊して3バンド目から見た感じだったなw
さて、そんなわけで3バンド目のミセチンことMrs. WiENERから見始める。
下北沢SHELTERの『Scorebook』、今年のベイサイドクラッシュ、このライブと、個人的にSABANNAMANとセットで見ることが多いバンドではあるw
何度見ても『チャイニーズガール』のキャッチーさにヤラれる。ロック色が強めのメロディックハードコアなんだけども、少し人を喰ったようなというか、少しおちゃらけたような雰囲気もあって、それがいいスパイスになってるよなぁと。
見る度にまた見たいと思わせてくれるバンドです。
トリ前はLEXT。
そういえばLEXTのライブを初めて見たのは、前述のSABANNAMAN企画の『Tell Me Africa』だったな。その日から何度か見てるけども、やっぱりむちゃくちゃかっこいい。哀愁溢れるエモさと一度聴くと耳について離れないキャッチーさを併せ持つロックなメロディックハードコア。大好物ですわ。
LEXTもこないだ8.5に『ANOTHER NIGHT EP』をリリースしたばかり。月末には彼らのレコ発ツアーも始まり、そちらもどこか行きたいと思ってるので、非常に楽しみです。
トリはお待ちかねのSABANNAMAN。
『Happy Youth』からスタートでフロアも大盛り上がり。アルバムの曲の大半をやってくれて、個人的にはライブで聴いてみたいと思っていた曲……アルバムラストナンバーの『AROUND THE WORLD』をライブで聴けたのが何よりの収穫だった。
バンドのパフォーマンスは勿論なんだけど、フロアは埋まっているし、熱も高く、素晴らしいライブだった。いや、本当にいいライブ過ぎて、他に言うことがないくらいw
前述のSHELTERの『Scorebook』もいい感じにフロアは埋まってたけど、その時と違うのは「SABANNAMANを見に来た」人の多さ。いや、それぞれに聞いたわけではないので本当にそうなのかはわからないのだけど、フロアの反応を見ればそういう人が明らかに増えたのはわかる。
……ファンとしては言い辛い部分ではあるがw、見てる客が暗がりの中で数えられるほどにしかいない時もあった。驚くのは、それはついこないだのことだ。つい3ヶ月前にはIKKI NOT DEADのツイッター公式アカウントのネガティブキャンペーン(「チケット予約1人!」とか「客は引いてるだけ!」といったような)ネタは、(レーベルの所属アーティストに対する)自虐ネタとしては確かに面白くて、面白いのだけども、面白い反面、ネタとはいえそこまで言わなくても……という部分も正直ちょっとあったw
IKKI NOT DEADからの1stフルアルバムのリリース、フジロックにベイサイドクラッシュなどのフェスや大規模なイベントへの参加、普段のライブも同世代や若手だけでなく、そうそうたるバンドと共演したりしているのをよく見る。短期間に知名度とファンを獲得したのは、そういった彼らの活動の濃密さと、それに負けない彼らの実力があるのだろうなぁと思うし、まだまだこれからも大きく強くなっていくだろうなぁと。『AROUND THE WORLD』はそんなことを思いながら見ていて、ちょっと涙ぐみそうになったw ただのファンが何を偉そうにと思われるとは思うけどw まぁそんなこと思ってなくとも普通にいい曲で、『AROUND THE WORLD』をライブで見られたのが本当に嬉しかったのです。
いい曲といえば、この日、フロアが特に爆発してたのは『GNUS ON PARADE』だったかなぁ。元々ハードでノレる曲ではあるが、この日の曲のイントロへの持って行き方が凄く良くて、それにフロアも持ってかれた感があった。
本編終了後は勿論アンコール。アンコールのコールで「ワンモア」に混ざって「ゴーゴーカレー」コールかチラホラw アンコールでは、確かにやってないあの曲w ゴーゴーカレーでも流れている『Spice Of Your Life』や、新曲と称してレッチリの『RIGHT ON TIME』を演奏!w 『RIGHT ON TIME』はギターの上田さんがガッツリ歌っておりました。去年の年末の爆裂F.A.Dでやったのもレッチリだったのかなぁ……どうせなら『LONDON CALLING』のイントロもやってもよかったのでは……などと思いつつw
最後の最後は『DAYS』で、最高の締めくくり。やはり、『DAYS』のギターの旋律のキャッチーさ、心地よさは異常だ。あのギターのリフは凄く印象にも、耳にも残って、曲の良さを何度も何度も反芻させる。凄くよかった。
というわけで、素晴らしいレコ発ツアー初日だったのではないかと思います。ツアー本番の方は今日以外にも所謂首都圏がちょこちょこあるので、近場のライブにはまた行きたいと思ってるけど、何よりSABANNAMAN初のツアーということらしいので、いろんな土地を廻ってファイナルを迎えるSABANNAMANというのも、今から楽しみです。