昴と後星 放課後のプレアデス 10話『キラキラな夜』感想

いよいよ佳境に迫ってきたという雰囲気で、もう何話かで終わってしまうというのが既に寂しい気持ちすら湧いてしまうのだけど、それはそれとしてお話の行く末を見届けたい気持ちでもある。

で、この10話『キラキラな夜』ですが、言わば、みなと回なお話。
みなとの過去、みなとが何故ここに至ったのかというお話が展開される。
欠片を角マントことみなとに奪われた彼女たちは、勿論取り返しに即座に動く……が、ここ最近の目覚ましい活躍は欠片によって支えられたモノであったことを知る。つまり、欠片を手にしたみなとを追いかけられない。そこで、『ななこ13』でやったように、5人のドライブシャフトを合わせることでみなとを追いかける作戦を立案。一人乗りの合体ドライブシャフトで追うことを誰が決行するかを悩む5人だったが、角マントがみなとだということを認識したすばるは自分が行くべきだと手を挙げる。
その頃、12個目の欠片を引き寄せる間にみなとは自分のこれまでのことを思う。入院して孤独だった幼い頃のみなとが出会った友達のことだ。
ある晩にみなとが出会った不思議な少年は宇宙船のエネルギー……可能性の結晶を集めていると話す。みなとはついつい手伝いたいとお願いする。少年は快諾するが、自分に名前をつけてほしいと言い出す。みなとは彼にエルナトという名前をつける。そんな彼と暗い病室から抜け出して、魔法使いとなって冒険のような結晶集めを過ごす日々。実現と共に失われた可能性から弾かれた、可能性の結晶。それに心惹かれていくみなと。
そんな日々の中で開かれた病室の扉。開いたのはすばる。9話のあのシーンだ。結晶を集めて飛ぶみなとを流れ星だと思って願いをかけてくれたすばるに、みなとは自分が肯定されたような気持ちになる。
しかし、ちょっとしたことから「魔法」は解けていく。幼い全能感からか、エンジンの欠片を無理に追いかけたみなとは落下し、本当のみなとの姿に向き合うことになる。本当のみなとはずっと意識を失ったまま、寝たきりだった。魔法使いになってエルナトと冒険する彼、それこそが人の心から弾き出された可能性の結晶、そのものだったのだ。
自分の可能性のないこの世界を変えるかもしれない力を持ったエンジンの欠片を追い求めるうちに、みなとはエルナトを振り払い、孤独な空の、孤独な病室の、その闇に、可能性の結晶と共に沈んでいく……。
そして、長い時間を経て再び開かれる扉。すばるだ。
そんなことを考えているうちに追いついてきた魔法使い。みなとは彼女がすばるだと気づく、気づかされる。そんな中、迫りくる巨大なエンジンの欠片からすばるを庇って、巻き込まれて消滅するみなと。
消滅していきながら送る、すばるへの言葉は、すばるの心に、強く、深く、刺さる。

この10話を見た時、本当に言葉を失くす感覚でした。
何より言葉を失う思いだったのは、前回の9話『プラネタリウムランデブー』の終盤のシーンと繋がっていくところ。
宇宙の旅の最後、呆けるようなみなとの表情と涙。「僕も幻だと思っていた。でも、違ったんだね」という言葉。理の外の中での再会と共有された思い出。その直後にエンジンの欠片を見つけた時のみなとの表情。
10話を見た後に改めて見直してみたけど、そのどれもが、こちらの感情をグラグラと揺らす重力が更に増し、みなとの心境を思うと、見てるだけのこちらの心まで潰れてしまうような感覚すらある。
そして、また、大切な人を喪失したすばる。
この話を受けて、この後どうなっていくのか……。

また、みなとと出会った不思議な少年エルナトは、勿論、会長なんだけども、彼がここまでどういった思いでみなとを見ていたのかも気になってしまう。
何者でもない可能性に溢れたすばるたちを選んだのは、みなとのことがあったからだろう。どういった思いなのか、正直、自分には想像がつかない。彼はななこを通じて饒舌ではあるが、その真意は汲み取りきれない。残りのお話でそういった部分も描かれることを願う。

さて、そういったクライマックスに向けた展開は勿論素晴らしかったのだけども、それ以外も非常に素晴らしかったのが今回の10話だ。本当にいろんな部分を魅せるのが上手いシリーズだと思う。
何より、みなととエルナトだ。何が凄いって、そのショタかわいさだ。
ショタみなとの変身シーンは個人的なベストショタアニメシーンでも、かなり上位にランクインするのではないだろうかと考えている。元が病弱な少年で、変身後は王子様な感じとかも最高。
そしてエルナトもヤンチャ系と不思議な雰囲気を絶妙に併せ持つショタで、中身会長とかもうどうでもよくなる。
そして、そんな二人がイチャイチャと冒険してるんだぜ。
そうそう、「エルナト」は「突くこと」なんだって。つまりエル✕みなである。俺はリバもウェルカムですよ!
つーか、この二人の結晶集めのお話、絶対スピンオフやるべきだろ。アニメで……とはさすがに言い辛いけど、漫画か小説でもいいので、なんとかお願いできないだろうか。
毎回のことながら素晴らしいAnmiさんのアイキャッチのエルナトとみなとのイラストもそうだし、今回のエンドカードコヤマシゲトさんのエルナトのイラストの素晴らしさがまた余計にそう思わせる。ワクワクするSFの物語が始まりそうなあのイラストは、二人の冒険は凄く楽しいものだったんだろうなと想像させられる。

あと、会長の持つ技術が垣間見えたような気もして面白かった。可能性の重ね合わせ、という話が出た時に猫が出ていてなるほどと思ったけど……可能性を「重ね合わせ」にしてしまう揺らぎ。「シュレーディンガーの猫」だよね、たぶん。
あのへんが可能性のある揺らぎのある未来を任意に選びとることに繋がっていくのかなぁ……とか。まぁすげー雑な考えなんでしょうが。よくわかってませんw
なんにせよ、そういう意味では、放課後のプレアデスはすばるとみなと、すばるとあおい、みなととエルナトのイチャラブが重ね合わせになっていますね……最高だ……シュレーディンガーのイチャラブ……!

それにしても、このシリーズ、見直すのが凄く面白いなぁ。既に書いた重力の違いを感じたのもあるし、9話と10話の幼い頃の思い出のシーン、見てすぐに違いがわかる部分もあるけど、改めて見直すと細かいとこでも結構違っていて面白かった。

最後に……みなとの角マントバージョンの角が片方が折れているのはアルデバランだからなんです……?
しかし、そうか、アルデバランなのか……。