90年代と今と 2015.05.30『MOONSTEP 9th Anniversary Show PARTENON X』at 中野MOONSTEP 感想

中野MOONSTEPの9周年イベント『PARTENON X』に行ってきました

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この日は同日のイベントとして、晴海でクラフトビールとロックが楽しめるクラフトロックフェスや、バンドだけでなくゆるめるモ! や篠崎愛のステージまで楽しめる下北沢サウンドクルージング、HOTSQUALL主催の千葉のオニオンロックフェス、eastern youthのニノさんラストツアーの渋谷O-WEST、SET IT OFF✕SWANKY DANKの新宿MARSなど、アツすぎるイベントが多すぎてどれにするか迷いに迷ったが、最終的には、中野MOONSTEPでのこのイベントに決定。
まぁ、一番迷うところであったeastern youthはチケットとっくになかったしな……。

で、今回行くことにした『PARTENON X』。面子アツ過ぎなんです。
NUMB
SOBUT
WRENCH(90's limited set)
SABANNAMAN
DUCK MISSILE
GROUNDCOVER.
何がアツいって、WRENCHの90年代セットですよ。結局、このイベントに行くことにした決め手はここでした。
というのも、このWRENCHというバンド、もう20年以上やっていて、90年代と今とでは音の雰囲気がちょっと違う。90年代はAIR JAMとか出るくらいにハードコア/ミクスチャーな雰囲気のバンドだったんだけど、今はちょっとテクノやダンスミュージックに近い部分があって。ボーカルのSHIGEさんなんかは今はシンセ操りながら歌ってるしね。まぁ今のWRENCHは今のWRENCHで無茶苦茶かっこよくはあるのだけど。
で、去年のJAM FESで今のWRENCHを見た時に「あ、今は昔の曲やらないのか」というのを知る。と同時に、たまに、ほんのごくたまに、「90年代セット」として昔の曲をやることがあることも知る。それを知ってからは、いつかは見たいいつかは見たいと思っていたのです。高校の頃、『WONDERING IN THE EMPTINESS.』はアホほど聴いたので、90年代のWRENCHへの思い入れもあって……。
あと、SABANNAMANが入ってるのも何気にポイント。こういった面子のイベントの中で見るSABANNAMAN、というのは面白そうだなぁと。

と、トップバッターはそんなSABANNAMAN。
しかし、図らずも、個人的にSABANNAMAN 2daysとなったなw
前日の『Scorebook』はフレッシュな面々とのイベント、この日の『PARTENON X』は歴戦……しかも若干コワモテな方たちとのバンドとのイベントと両極端な雰囲気ではあったけど、そんなことは全く問題なくSABANNAMANはかっこよかった。正直、歴戦のバンドにも全然負けてなかった。
後に出てきたNUMBのSENTAさんがMCで「彼ら23歳だよ? 凄いよね。俺らの23の時とかなんだったんだよw」なんて言ってたけど、本当にそう思います。いや、NUMBが昔は下手だったという意味ではなくw、SABANNAMAN凄いよねという意味で。
ライブのちょっとおバカなノリな雰囲気があまりそう感じさせないけど、ファンクとハードコアパンクの混ぜ具合とか若さに似合わぬ秀逸なセンスだと思う。若い力も感じるし、それだけじゃない力も感じる。

次に出てきたのはDUCK MISSILE。
やはり渋い。本当にかっこいい。
OPERATION IVY直系のスカパンクサウンド、しかしDUCK MISSILEでしか聴けない、癖のあるスカパンクサウンド。
明るく楽しいのもスカパンクだけど、こういう尖ったスカパンクスカパンクであると示してくれるバンド。すげーかっこいいわ。

3番目はGROUNDCOVER.
ギター、ベース、ドラム、パーカッション、トランペット、ダブワイズと声が奏でる爆裂DUBサウンド。
めちゃくちゃかっこよくて、音の圧力、高揚感、迫力にただただ圧倒された。こういった音はあまり積極的に聴いてこなかったけど、これからはちょくちょく見ていきたいなー。

4番目はSOBUT
今はスリーピースなんですね。
正直なことを言えば、当時のSOBUTのイメージを知ってると、やはりYOSHIYAさんやMOTOAKIさんがいないのはどうなんだろうという気持ちはあったんだけど、ライブを見たらそんな気持ちは吹っ飛んだ。
SOBUTの大好きな曲である『PRESSURE』を聴けたのも嬉しかった。
と、SOBUTのライブ中になんかフラフラする感覚がして、なにこわい何があったの俺の身体、とか思ってたら地震だった。ライブ中の地震は怖いな……何事もなくてよかった。

トリ前はNUMB!
いやぁ、もうさすがというかなんというか、貫禄。
「今日はライブじゃなくてパーティだから。暴れろとか言わねえから、みんなそれぞれ楽しんでよ」
みたいなこと言ってたけど、盛り上がるにつれ激烈熾烈な様相を示していくフロア。結局「怪我だけはしないようになw」と釘を刺さなければいけなくなり……やっぱりNUMBだw
俺はヘタレなハードコアパンク好きなので、NUMBのライブとか見る前はちょっと恐怖心すらあるんだけど、ライブ自体は見てると面白いんだよなぁ。
ハードコアパンクってどっかで勢いとかが必要で若者の為の音楽ではあるけど、こういった熟練のハードコアパンクも凄く魅力あるよなぁ。洋楽でもBad Religionとかめっちゃかっこいいもんなぁ。

トリはWRENCH 90's limited set!!!
『空』→『原子帰省』→『時空自在』→『ヒポテーゼ』と初めからトバすトバす。時空自在はフロアグッチャグチャになってたし、ヒポテーゼは高揚感と浮遊感が凄かった。そして、高校の時に大好きだったナンバーが聴けて最高の気分だった……。NUMBのSENTAさんもMCで「俺の青春時代」みたいなこと言ってたけど、「まさにまさに」なんて思ってた。
それにしても、暴力的なまでに音の世界に引き摺り込まれるというか、寧ろ音で意識をぶっ飛ばされてしまうというか……WRENCHのライブは物凄いなと思わされる。
前述のようにJAM FESでライブを見ていて、もしかしてWRENCHのライブのそういう強度みたいなモノを感じるのは、今のWRENCH(の曲)だからなのかなと思ってた部分も正直ある。特に先日のJAM FESのライブは素晴らしかったのもあって……のだけど、90年代セットのWRENCHを見てそんなのは完全に俺の思い込みだと思い知らた。WRENCHのライブの力というのはそれがどういう曲なのか、というのは関係ないのだなぁと。昔の曲でも全然引き摺り込まれるし、ぶっ飛ばされる。
そんなことで、今回ちゃんと90年代セットを見られたのは本当によかった。勿論「90年代のWRENCH」と「今のWRENCHの90年代セット」は違うモノではあるんだけど……要は今のWRENCHが昔の曲やってたって、今のWRENCHとの差はそんなにないよと、WRENCHはWRENCHだと、そういう結論を自分の中でちゃんと実感として感じられたのは、昔の曲をライブで見られたのと同じくらい僥倖でした。まぁでもたまには時空自在とかヒポテーゼをライブで聴きたいのも正直なとこだけどw
そして、トリだったのでアンコールもあったけど、ネタがもうない、ということでサクッと終わられましたwちょっと足りない感があるくらいがちょうどいいのかもしれませんw

と、まぁWRENCHに限らず、この日はSABANNAMANのようにまだまだこれからのバンド、DUCK MISSILEのように復活したバンド、NUMBのようにバリバリやり続けているバンド、ジャンルとはまた別の部分で「いろんなバンド」を見れたのも楽しかった。
やはり、こういった面子の中でSABANNAMANを見たのは凄くよかったなぁ。今、既にかっこいいからこそ、これからが更に楽しみなバンドでもあるなぁというのを改めて実感できたというか。勿論、SABANNAMANがどんなバンドになっていくか、どれだけ続けていくバンドになるかなんて俺にはわからないんだけども、妄想するだけなら自由だよねw
そんな風に若さを感じたり、歴戦のバンドたちのこれまでを感じたり。そういう点でもいいイベントでした。
つーわけで、数々の面白そうなイベントの中でこのイベントを選んだことを全く後悔することのない、非常に楽しいイベントでした。ただの客だけど、MOONSTEP9周年おめでとうございました、とスタッフに言って帰ろうかと思ったぐらいw

あ、そうそう中野MOONSTEPはまだ2回しか行ったことないけど、個人的にオススメのライブハウスです。
何が素晴らしいって、ライブハウスにあるまじき良心的なドリンクの値段設定が素晴らしい。そして、ライブステージが1階、バースペースは2階にあって、バースペースではゆったりと過ごせる感じなのがポイント高い。何か気になるイベントがあれば気軽に行ってみて欲しいライブハウスです。