ライブバンドの音源 salsa『VERY HARDCORE』感想

20日に発売されたsalsaの『VERY HARDCORE』。10曲入り、2000円。

VERY HARDCORE

まずはsalsaというバンドについて。
今回のアルバムが1stフルアルバム。
07年頃から下北を中心に精力的に活動中。ギターボーカル・ベース・ドラムのシンプルな構成のスリーピースバンド。
音としては、ポストパンクとかニューウェーブといった言葉からイメージされるような音に近いかなと思う。オリジナルなポストパンクとかってよりは、リバイバルされたポストパンクバンドの、あの雰囲気。
一応、リバイバルされたポストパンクの音というと、自分はThe StrokesとかThe Libertinesあたりがわかりやすいバンドになるかと思うんだけど、実際には「ポストパンク・リバイバル」というのは、2000年代前半ぐらいからの「ガレージロック・リバイバル」からの流れで(つまり、上述の2バンドはポストパンク・リバイバルのバンドというよりは、ガレージロック・リバイバルのバンドということ……なんです?)うんたらかんたら。例のごとく詳しいことは知らないし、正直、どっからガレージロックでどっからポストパンクでどっからニューウェーブなんだという気持ちになるので……誰か詳しい方いたらご教示くださいw
それはともかく、自分は当時出てきたRAZORLIGHTの『Up All Night』とかMilburnの『well well well』とかいまだに聴き返すレベルに好きだし、DOGSの『London Bridge』という曲は最高なんで、興味あれば是非。

で、salsaの話。
自分がsalsaを初めて見たのは去年の6月に新宿Motionで行われた『小企画✕Are you ready?』というイベントだった。キッカケは友達が出るということで見に行ったわけだけど、イベント自体がまず面白くて、うまい棒食べ放題でフードも投げ銭で配布してくれるという、長丁場でも安心のイベントでした。ライブハウスに無造作に置かれてるうまい棒はなかなか趣があってよかったし、もう少しゆったり出来るスペースがあったら逆にヤバかった気がするw
そんな中で見たバンドの1つがこのsalsa。先に書いたようにポストパンクをイメージさせるような尖った部分がありつつも、音の絡み方が気持ちよく心地いい感触。とても気に入って、いいバンドに出会えたとウキウキして物販に向かったのを覚えてる。その時に自分が買った『salsa e.p.』(6曲入1000円)もイイのでオススメです。
その時のライブからはなんだかんだと見れてなかったんだけど、凄くライブがいいバンドで、更に今回のアルバムのリード曲である『サイダー』のMVがむちゃくちゃ良くて……つまり音源の出来もかなりよさげで期待度が高く、このアルバムを聴くのがとても楽しみだった。

そんなこんなで、今回のアルバム『VERY HARDCORE』を聴いたんだけど、まぁ率直に言ってとても素晴らしい。
今回、なにやらエンジニアに中村宗一郎さんを迎えての制作なんだとか……なるほど……確かに以前のミニアルバムより、よりsalsaというバンドの音像が鮮明にこちらに伝わってk……ごめんなさい、よくわかってないですw 音楽評論ブログではないので、ご容赦くださいw

さて、本作はドロリとした感触のイントロから入りサビで爆発する『ダイナソー』でスタート。salsaのアルバム『VERY HARDCORE』が始まりますよ、という雰囲気も醸し出していてイイ。
2曲目はMVにもなった『サイダー』。やはり素晴らしい。感情をざわつかせるようなギターのリフとその音の感触、言葉を投げつけるようにぶつけてくる歌が強烈な印象を残す。共感して欲しいとかわかってほしいなんて思ってないけど、伝えたいことがあるんだという想いと熱みたいなモノを感じて、痺れる。
個人的に大好きな『サイダー』の後は、通常のパートとスカパートの落差が気持ちいい『S.U.M.F』、「ゾンビーゾンビー!」が楽しい『ゾンビ』と続く。『ゾンビ』もたまらない。ゾンビが走り出しそうな曲だし、ライブでこの曲で踊ってる人がいたら最終的に足が絡まりそうw
その『ゾンビ』の勢いをそのまま受け継いだかのように「スーパー!」と叫ぶ『Super』を挟んで、ミドルテンポの『ブルー』で一休み。ちょっとしんみりしそうになるが、『アスホール』でまたエンジン全開に。小気味よい演奏にノセられて、ライブでサビがきたら「アスホール!」と叫んでしまいそうw
8曲目はアルバム発売日にMVが公開された『スーサイド』。不穏な雰囲気を醸し出しながら繰り返される中毒性の高いギターのリフが、ダンサブルなリズム隊とのミスマッチに思わず魅了される。MVも面白いすな。
いよいよ残りは2曲。9曲めはタイトルの通り、泥んこ遊びのようにグチャグチャな感じが面白い『Doro』。最後はとてもサッパリと『He Knows』で締め。
と、あっという間に10曲33分が過ぎる。フルアルバムで33分は長くはないが、短くもない。それでも早く感じるのは自分が好きなやつだからだろう。一周目の後、すぐにまた再生ボタンを押してオールリピートのボタンも押した。

殆どは既にあった曲みたいで何度もライブでやられていて、熱心なファンには目新しさはあまりないかもしれないと思うけど、(自分はまだ一度しか見てないものの)彼らはライブが凄くいい印象だったので、寧ろ「あの曲の音源化キター!」だろうなぁとも思う。
いいライブをするバンドの音源はファンにとってはとても重要なんです。
ライブがいいバンドはライブを見ればそれでいいと思う部分はある。あるけど、そのバンドのファンがそのバンドのよかったライブを反芻するのに格好の材料なのは、やはり音源なのだ。そのバンドの想いがパンパンに詰まった音源は、ライブを見たファンのバンドへの想いを刺激してくれる。音源を聴きながらライブの反芻をする時間はファンの宝物だ。

そんなことを考えるくらい、いいアルバムだった。