ライブハウスの底力を感じさせる『JAM FES』 JAM FES 2015感想

『presented by shinjuku JAM 35th anniversary “JAM FES 2015 ~140時間超えモンスターサーキットイベント~”』と銘打たれていることからもわかるように、ゴールデンウィークに、新宿のJAMとJAMのスタジオ3つ、NINE SPICES、Live Freakの6つの会場、アーティストは300組以上、140時間を超えて行われる化け物サーキットイベント、「JAM FES」。丸一日音楽を楽しめるフェスというのはたまに聞く話ではあるが、朝から晩まで6日間ほぼぶっ通しでやってるフェスなんて聞いたことないし、本当にキチガイとしか思えない。スタッフさんの苦労を考えると何とも言えない気分になるがw、素晴らしいイベントではある。
また出るアーティストも大量に出るだけでなく、ギターウルフやWRENCHといったベテランバンドや、本棚のモヨコやまちぶせ、タグチハナのような注目株も入っていて、メジャーなアーティストからアングラな雰囲気なアーティストからバンドだろうが弾き語りだろうが、ジャンルも形態も様々。ワンオクとかKANA-BOONというようなフェスのメインアクトに引っ張りダコみたいなアーティストはさすがにいないけど、いろんな人が見ていて楽しめるバリエーションになっている。
その上、こういったフェスには付き物の、トンカツ(eastern youth 二宮友和)+MUSQISとかギターウルフ+増子直純(怒髪天)といった激アツなコラボの時間もあって、これで通しで2000円(+ドリンクチケット)ですよ……どういったアレで収益を得ているのかw
問題があるとすれば、ライブハウスの規模が小さいことか。去年の向井秀徳ソロのJAMでのライブなんてもうパンパンで人が溢れていて、音は聴こえるけど向井さんは全然見れなかったw だが、それがいいとも言えるのがライブハウスであると思う。パンパンのJAMで聴く『透明少女』、最高でした。フェス形式のイベントは野外や大規模な会場もいいけど、こういう小規模なライブハウスのイベントとしてのフェス、大好きです。
さて、ではとりあえず今回自分が見たアーティスト

5.2
MUSQIS @NINE SPICES
WRENCH @NINE SPICES
HANZI BAND @JAM

5.3
MUSQIS @Live Freak
VOLA & THE ORIENTAL MACHINE @JAM
mothercoat @JAM
日の毬 @JAM

5.5
トンカツ(eastern youth 二宮友和)+MUSQIS @NINE SPICES

5.6
ギターウルフ+増子直純(怒髪天) @NINE SPICES
灰野敬二 @NINE SPICES
フロムTokyo @JAM

初日となる5.1はお休みではなかった為、参加できず。撃鉄、THEラブ人間、salsa、本棚のモヨコなど、かなり激アツの面子だったのでいっそズル休みすりゃよかった……。
なので参加は2日目の5.2から。この日はFC東京のホームゲームが以下略。1秒も見てないけど、東京勝ててよかったと思います!

そんなわけでJAM FES 2015、個人的な1発目はNINE SPICESでのMUSQISになった。
MUSQISは友人が参加してるバンドだからということもあるのだけども、去年ライブを何回も見たバンド。数えてみると8回で、去年ライブを見たバンド最多だったw ただ、MUSQISというバンドの面白さは個人的な付き合いは関係ないです。インストバンドなんだけど、毎回のようにバンドのメンバーも編成も変わって、同じ曲でもライブによって受ける印象が変わる。印象が変わるのがいつものこと、というのも凄い。ライブを見るのが毎回楽しみです。
この日はツインギター、ベース、ドラムにキーボードとトランペットだった。キーボードが入ってるのは初めて。毎回新鮮だw

引き続きNINE SPICESでWRENCH。
WRENCHは所謂「あの頃」のメロコア/ハードコアを知ってる人にはお馴染みのバンドではないだろうか。自分も『時空自在』の入ったアルバム『WANDERING IN THE EMPTINESS.』や『ヒポテーゼ』はよく聴いたし、個人的に『BLUE BLOOD BLUE』はいまだに色褪せない名盤。
今の、テクノロジーをガッツリ取り入れ、サイケデリックでダンスミュージックの雰囲気をも垣間見える音の方向性は、当時のファンからすると少し戸惑う部分もあるかもしれない。が、当時からミクスチャーの方向性はダンスミュージックのそれに近かったと思うし、サイケデリックな雰囲気も当時からあったので、耳慣れると意外と今のWRENCHも当時のWRENCHと同じような気持ちで聴けるのではないかなぁという気がしてます。
この日のライブは去年よりもハードな感触で非常によかった。そして、最後の曲でSHIGEさんが何故か全裸に。何でだw

JAMに移ってHANZI BAND。
HANZI BANDは初見。パンクロック! といった感じ。ロックバラードの典型的な音をなぞりながらバブバブ歌うという、ロックバラードを嘲笑うかのような曲をやったかと思うと、非常にエモい曲を披露したりして、とても面白かった。

5.3は前日のJAM FES後に友人の家に泊まってダラダラと遊んだ後に、一度帰宅して一休みしてから新宿。連休楽しい。

そんなわけで、まずはLive FreakでJAM FES 2015、2度目のMUSQIS。
この日のMUSQISはツインギター、ベース、ドラムというシンプルな編成。意外と、このシンプルな編成を見るのは初。いつもとっちらかっているというわけではないのだけど、シンプルな編成特有の纏まってる感じがあって、これはこれでいいなぁと思わされた。
さっきも書いたが毎回新鮮だw

JAMに移ってVOLA & THE ORIENTAL MACHINE
VOLA & THE ORIENTAL MACHINEは見るのは初。ナンバーガールZAZEN BOYSでドラムを叩いてたアヒトイナザワさんがフロントマンを務めるバンド。エレクトロでダンスミュージックの要素が色濃くありつつも、泥臭いロックを鳴らしてくれて、めちゃくちゃかっこいい。
で、そのライブだけど、素晴らしくよかった。音の感触そのままにフロアを泥臭く踊らせてくれた。人気もあるし、アヒトさんもフロアに降りてきてワチャワチャしたりしたので、ただでさえ空調の悪くて狭いJAMがクソ熱くてクソ暑いw
Syrup16gの中畑さんの力強いドラムが最高だったが、曲によってアヒトさんがセットされてた打楽器をバンバカ鳴らす場面もあって、本当に最高だった。

mothercoatもライブを見るのは初見。
したら、もうめちゃくちゃかっこよかった。音に縛りがないんだけども、こだわりのある音というか。あくまでポップでローファイな感触、だけど変態的、どう感じたらいいのかわからなくなりそうなのに、凄く心地よい音。めちゃくちゃよかった。
洗練されていて都会的な感じの音で近寄り難い感じも受けそうになるけど、変態的なポップの味付けがそれを打ち消してくれてるというか。そのへんのバランス感覚が上手いのかなぁ。
そんな素晴らしいライブ体験したので、それに合わせて音源じっくり聴こうと音源が超絶欲しかったんだけど、手持ちの音源がないとのことで物販に音源なかったw サイト見る感じだと、ネット配信の音源を買うのがよさげ……?
まぁ音源はともかく、絶対またライブ見たい。

日の毬はライブを見るのは2回目。
音の感触は高揚感のあるエレクトロなロックといった雰囲気。今回は、何よりサポートバイオリニストである百瀬巡さんが歌ってた! いや、そりゃよく考えたら百瀬巡さんだって歌いもするやろとは思うのだけど、これまで見慣れていたのはMUSQISの百瀬巡さんだったのでw そして、その曲がまたとてもかっこよかった。どの曲もいいんだけど、百瀬さんが歌った曲は特に印象的だった。

5.4はアホほどgdgdな日だったので見に行けず。
つーわけで5.5。NINE SPICESでトンカツ(eastern youth 二宮友和)+MUSQIS。
まずは二宮さんとMUSQISのメンバーが全員ステージに出てきて、音を合わせたり軽く曲をやったりした後、二宮さんは一度引っ込んでMUSQISから。
MUSQISはこの日はツインギター・ベース・ドラム・キーボードに加えて、ノイズ? 音響? まぁそういった方を1人迎えての6人編成。静と動、高揚感と浮遊感のあるMUSQISの演奏にキーボードの演奏がまた合う。何回目かわからないが、新鮮であるw
大盛り上がりの中で終了し、トンカツ、二宮さんにバトンタッチ。「轟音の後でやり辛いなw」などと言っていたが、なんのその。ギターの音色の美しさや、打ち込みと弾き語りの合わせ方など、さすがと思わされた。
あと、なんとなく、ギターに書かれた「ディス マシン キルズ ファシスト」という文字が印象的だった。This machine kills fascists、Woody Guthrieですよね。いつ書かれたのかわからないけど、思うところあるんだろうなと。
で、最後はトンカツ+MUSQIS。やる曲は、Twitterでも告知された通り、eastern youthとは別に二宮さんがやってたひょうたんというバンドの曲。トンカツでも弾き語りしてる曲は大体ひょうたんの曲とのこと。
不勉強なもので、ひょうたんというバンドは今回のことで初めて知った。しかし、これがもうめっちゃくちゃによかった。
元々、ひょうたんが好きで今回のライブを見た人たちに、トンカツ+MUSQISがどう見えたか、どう聴こえたかというのは、自分には勿論よくわからない。既に解散してるとのことなので、余計に感じるモノもあるんじゃないかとは思うので、ひょうたんファンだった人も満足したのではないか、みたいなことは軽々しくはとても言えない。
そのことに関しては何も言えないものの、トンカツ+MUSQISでは3曲やったんだけど、演奏終了でフロアから「もう一曲」の声が。バンドが「やれる曲ないからw」と返すと、フロアからは「同じ曲でいいから!」の声。これが全てなんじゃないかと思う。
フェスのタイムスケジュールということもある(MUSQISが始める段階で20分おしだった)し、バンドも(二宮さんはeastern youthの脱退前の大切なラストツアー中だし)二宮さんと合わせたのは当日の昼とのことだったし、曲の余裕はないことはファンにもわかってたと思うんだけど、そう言わざるを得ない気持ちはよくわかった。自分も全く同じ気持ちだった。同じ曲でいいから、もう少しだけでいいから聴かせて欲しいと。実際、二宮さんもバンドも最後の曲をやるのが名残惜しいというようなことを漏らしていた。そんなこと言ってるのを見たら、本当に、もう少しだけでいいから、聴かせて欲しいと思ってしまうよなw
まぁでもそれは結局ムリな話でw、二宮さんの「ありがとう」で終わるんだけど、ともあれ、トンカツ+MUSQIS、本当によかった。

そして最終日、5.6、この日はFC東京のアウェイ仙台戦の生中継が19時から以下略。勝ててよかったと思います!

まずはNINE SPICESギターウルフ+増子直純(怒髪天)。当日決まったのか、坂さんも増えてたw
フロアはパンパン。前詰めまで行われて密度高かった。バンドが出てきて熱気がうpる……暑いw
まずはギターウルフがそのまま演奏。アホほど歪んたギターの爆音が何故か心地良いとすら思えるのがギターウルフ。『環七フィーバー』でフロア爆上がり、『ジェットジェネレーション』まで突っ走った。
その後、ゲストを呼びたいとMCで言ったところで、怒髪天の2人が勝手に入ってくるw 客の拍手まで既に受けてたが、セイジさんに呼び込むからと追い返される2人w
まぁそんなことで怒髪天の2人登場、ギターウルフ+怒髪天Sex Pistolsのカバーを披露。言わずと知れたピストルズ、どの曲もみんな耳に馴染みのある曲ばかりで、どの曲も盛り上がってた。それでもやはり『Anarchy in the U.K.』への反応が一番凄かったかな。しかし、このクラスのバンドはカバーをやってもらしさを感じさせてくれるので凄いよな。
その後、増子さんがギターを持ってアレコレしたり、ファンにステージ上がらせて客にギターを任せてダイブしたり、gdgd感もありつつw、フェス特有の楽しい空間を演出。
最後の最後は『オールナイトでぶっとばせ!!』で締め……と終わったところで、初日にもギターウルフ出てたから、JAM FES初日な『オールナイトでぶっとばせ!!』は聴きたかったなとなった……やはり仕事なんかさb
とにかく、最高に楽しかった。

引き続きNINE SPICESで、JAM FESだけで都合4回見ることになったMUSQIS。
この日はツインギター・ベース・ドラム・キーボード・トランペットの6人編成。
色々あったらしく、かなり性急に演奏。手を抜いてるわけじゃないのは見ててわかるし、寧ろ、速くやったら速くやったでかっこいいと思える曲もあったが、まぁもう少しゆったりと見たかったなとも。
あと、速い曲のトランペットかっこいいなぁと思った。
全くもって毎回新鮮だw

NINE SPICESトリは灰野敬二さん。
少し友人と話してた為、途中から。フロアに入った瞬間からサイケデリックでノイジーな空間を演出してた。さっきのギターウルフ+怒髪天の空間がウソのようだw
まぁ正直よくわからぬ……というところもあるけど、凄いなとは思います。

最後はJAMに向かって、JAM FES 2015大トリ、フロムTokyo。初見。すげえよかった。
ブルーハーツとかあのへんのパンクロックを直系にしたロックと感じたんだけど、そういった部分を意識してる感もあって、しかし、そういった小賢しい部分を抜きにした熱さが伝わってくる素晴らしいライブだった。初見なのに、何度か涙ぐみそうになるほど。またフロムTokyoのライブが見たい、そう思わせてくれました。
こういったバンドが大トリを務めていることが、JAM FESの素晴らしさなのかなと。

最後の閉会式はちょっと疲れてたので遠慮させてもらってJAM FES参加終了。
といったことで、JAM FES6日間……俺が参加したのは4日間だけど、めちゃくちゃ楽しかった。
出るアーティスト、ライブハウス、その関係者の方々、6日間ぶっ続けのフェスには並々ならぬご苦労があったことは想像に難くないが、その苦労も報われる素晴らしいフェスになっていたと思います。
どれぐらい素晴らしいかというと、5日間つけっぱなしだった左手のJAM FESリストバンド、外してから少し寂しい思いすらある。つまり、フラッとJAMに行けばまだJAM FESやってるんじゃないかって。いややってたら大変なんだけどもw、でも、ライブハウスはそういうところだと再確認させられる。ライブハウスに来たら、ライブと、音楽と出会えるよと。そんなことを感じさせてくれる素晴らしいフェスだったと思います。
しかし、あのリストバンド凄いな。ボロボロ感は出るけど、全然破れる気配ない。紙なのに。シャワーだけじゃなくお風呂にも入ったのに全然余裕だった。5日間お疲れ様でした。
そしてアーティスト、ライブハウス、関係者の方々、6日間本当にお疲れ様でした。本当に楽しいフェスでした。
来年は未定とのことだけど、来年ももしあったらまた顔出したいと思います。