ひかるちゃんのおむねはエモーショナル・ハードコア 放課後のプレアデス4話『ソの夢』感想

痛いってなんだよ!

というわけで、『放課後のプレアデス』4話『ソの夢』が大好きという感想文。
まず、放課後のプレアデスがどういったアニメなのかというところを少しだけ……つっても俺もよく知らんのだけど。
GAINAX富士重工業……スバルが展開するプロジェクトの第一弾ということで、元々は2011年にYouTubeで公開された作品、とのこと。そっちは見てないのでわからない。そのへんの絡みもあってか、主人公の名前は「すばる」になってる。詳しいことはWikipediaでも見てくださいw
で、その作品がこの春、テレビシリーズとして新しく放送されていて、それが今回の『放課後のプレアデス』になります。
雑に説明すると、なんやかんやで集まった5人の何も突出したモノを持っていない少女たちが宇宙人のトラブルを解決するためになんやかんやしてるというお話なんですが……本当に雑だこれ。いいんだ、別にアニメ評論ブログではないので。もっとこう、エモーショナルな感じ。

というわけで、今週放送された4話『ソの夢』、本当に好きだこれ、というお話。
今回、5人の少女の中のひかるちゃんという女の子に焦点を当てたお話になってるのだけど、凄くいいんですよ。
ひかるちゃんは溌剌としていて、なおかつなんでも平均点以上にこなせちゃうような面がある、おむねがエモーショナルハードコアな基本スペックの高い女の子なんだけど、今回、冒頭で絶対音感の持ち主であること……更に言えば親が夢を叶えた人たちであることが明らかになり、ひかるちゃんも何かしら才能を持っているかのような描かれ方をされる。
しかし、最初に書いたように、基本的にひかるちゃんは勿論、彼女たち5人は基本的にまだ何者でもない。で、お話はやはりそこを突いてくる。
彼女は幼い頃に父親が作曲の方向性に悩んでいる雰囲気を感じていたのだが、ふとした時に閃いて楽譜に音を足す。足した時はこれでいいと思っていたが、時が経つにつれ、そのことを彼女は気になって仕方なくなる。仕事の邪魔をしたんじゃないか、余計なことをしたんじゃないか……頭が回って気がつく彼女のことなので、父親に気を使わせることになって曲の完成度を下げさせる破目になってしまったんじゃないか、というところまで気にしていたのではないかとすら思う。結局、彼女はその曲が最終的にどうなったかを見ておらず、聴いてもいない。
そして、それはおそらく年を重ねるごとにある種の呪いになっていく。彼女は基本のスペックの高さからか、なんでもできるという長所を持つが、その背中合わせとも言える何も極められていないという短所を獲得していく。これが夢を叶えた両親に対する負い目となって、そのことが両親への申し訳なさと重なって強烈なトラウマとして顕現する。本を最後まで読まない・音楽を最後まで聴かないというのは、展開が読めるからもういいのではなく、その後どうなったかなんて怖くて知りたくないのだ。
そういった彼女の個人的な悩みを展開しながら、今回のミッションである月を廻る宇宙人の乗り物のエンジンの欠片を回収しに月に飛ぶ。無事回収か、という場面でトラブルが発生し一時気を失った彼女は夢に、父親のあの時の曲を耳にする。
宇宙に向けて演奏するという企画の演奏会を行う両親が、家族の連絡に使うホワイトボードに何気なく書いた彼女の「学校→月!」という伝言を見て、アクションを起こしたのだ。その曲を聴いて彼女は……といった感じで、非常にウェットな感じすらある。のだけど、見てるのが辛いという気持ちにはならない。
月に行くための箒の飛行の特訓をするのだけど、その時の疾走感・スピード感は気持ちよく、月に向かった時のダイナミックに描かれた景色も素晴らしいし、また夢の世界の現実離れしたメルヘンチックな世界観も楽しい。楽しいものの、箒のスピード感は彼女自身の停滞感、メルヘンチックな夢と奔放に振舞うすばるは、現実的でいい子で振舞おうとするひかるちゃんの辛さをも感じさせる。
だが、それ故に最後に辿り着いた「月、おいしかったね」がとても胸に響く。そっからの部室でのひかるちゃん弄りは、もうたまらんものがある。

何者でもない彼女たちとは言うが、彼女らはまだ若いので、まだこれからなんである。何者でもなくて当然。ただ、これはオッサンだから言えることで当事者の悩みとか焦りとか戸惑いとか、色々な感情もまた当然。そういった青臭い感じは見ていて照れくさい時もあるが、正直大好物だ。エモーショナルな感じだ。
というわけで、今回のひかるちゃんの回、本当に大好き。特に誰推しということもなかった(強いて言うならすばるとあおいペアは素晴らしい)けど、ひかるちゃんは今回の話でむちゃんこ好きになった。ひかるちゃんの、小賢しくて上手く立ち回れる癖にめっちゃ真摯な感じ……最高か。太眉だし。
つーわけで、今後もエモーショナルな感じで大変楽しみなアニメ。

だから、痛いってなんだよ!